風雲電影院

ポール・ヴァーホーベン/トリック(Steekspel)

2014年4月26日
キネカ大森

 映画の脚本というものは、ひとりで書かずに何人かの合作といものがよくある。では、約400人で一本の映画の脚本を書いたらどうなるか? それがこの『ポール・ヴァーホーベン/トリック』だ。

 90分程度の映画だが、最初の30分以上は、映画のメイキングみたいなもの。オランダでポール・ヴァーホーベンが記者会見のようなものをして、こりから新しい映画を撮ると。まずプロの脚本家に依頼して最初の4分間だけ書いてもらう。最初にその部分だけ撮影して、そのあとは一般に脚本を募集して、繋げていくという企画だとぶち上げる。それから撮影シーンなどが映し出されながら、アメリカで撮った『ロボコップ』『トータル・リコール』『氷の微笑』『スターシップ・トゥルーパーズ』などの話を持ち出して、ハリウッドでの不満をぶちまけるシーンが面白い。

 長〜いイントロにそろそろ飽きてきた所で本編に入った。なるほど、送られてきた続きの脚本のいいとこ取りをして作られただけあって面白くできている。しかしなんなんだろう、これ。最初の部分の脚本では、主要登場人物は、男4人、女4人の計8人。それをうまくかみ合わせようとして、全員のキャラクターを過不足なく描こうとしてしまっていて、主人公になる人物がいない映画。そのために、男も女もみんな打算だけで生きている色気ちがいみたいな話になってしまった。

 ストーリーを説明するのも面倒な内容。50分ほどの中編としてうま〜くまとまっているのだけど、まとまり過ぎで、これ、どうなんだか。うま〜くオチも着けましたって終わり方になっていて、クスッと笑えてオシマイ。

 これ、作る方も中編の割には凄いエネルギーを使っただろう。でもその割に、観る側としては、アハハ程度で終わってしまうんだよね。

 メイキング部分で、建物が爆発するとか、ハリウッドでやるような荒唐無稽な展開にはしたくないと語っていたけれど、なんかチマチマした話なんだよね。人間関係ドロドロなんだけど喜劇になっているし。ポール・ヴァーホーベンって、ほんとにこんな映画を作りたかったのかねぇ。

4月27日記

静かなお喋り 4月26日

静かなお喋り

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