風雲電影院

悪い男(Bad Guy)

2015年4月20日
三日月座BaseKOMシネマ倶楽部

 2001年韓国映画。私は初見。

 なんだかわからないという感想を目にする。ヒロインを罠にかけ売春婦させる男ハンギ(チョ・ジェヒョン)と、理不尽ながら娼婦になって行き、やがてハンギを愛するようになってしまうソナ(ソ・ウォン)の気持ちが理解できないという、まことに持って正しいご意見。しかしこれもSとMの関係だと捉えれば、それほどわからない関係ではない。

 ただよくわからないのは、この映画、ディテールにまったくリアリティが無い。そこで好き嫌いが分かれてしまうと思う。

 美大に通う女子学生ソナ。恋人と待ち合わせ中。そこへやってくるのがガテン系の恰好をした男ハンギ。まあ見た感じは海老蔵みたいとでもいったところか。ちょっと危険な臭いがする男だ。ソナのことをジロジロと無遠慮に見つめたりするものだからソナも不気味に思っているようだ。そこに待ち合わせのカレシ。いかにも草食系といった若者で、ハンギとは正反対の男。ふたりは映画に行こうと歩き出すが、ハンギは突然ソナを捕まえキスをする。「謝りなさいよ!」叫ぶソナ。この辺が韓国の女性なんですかねぇ。これって痴漢なんじゃないの。謝るとかどうとかってより犯罪でしょ。

 このソナがハンギの罠にかかって娼婦に落ちていくわけだが、ソナもちょっとマトモではないことは確か。書店で美術書の1ページを切り取って持って行ってしまう。そのときに棚に置いてあった財布を持ち逃げしてしまうのだが、これが罠。持ち主に掴まってしまう。小切手が無いとイチャモンをつけられ、闇金を紹介されて借金地獄、そこから返済できなくなって売春宿に売られてしまうのだが、誰でもわかるようにこれはハンギの策略。本屋の本を切り取ったり、財布持ち逃げの時点でソナはアウトでしょ。

 このソナ、最初のシーンに登場した時は、別に美人ともなんとも思わなかったのだが、娼婦にされてしまってから、どんどんきれいになっていく。うわっと思いましたね。しかし一方でこの売春宿というのがよくわからなくてモヤモヤしてくる。韓国って、こんな露骨な売春宿ってあるの? アジアの赤線地帯にはありそうな作りなんだけど、店先は明るくて華やか。本当に韓国にはこんなところがあるの? インターネットで得た程度の知識だと、韓国で売春が違法行為と認められるようになったのは2004年。・・・って、最近のことなの? この映画は2001年だから、こんなことが本当に大っぴらに行われていたんでしょうかね?

 なんだかご都合な展開も気になる。ハンギが殺人罪で刑務所に入れられて即死刑が決まって死刑場に連れて行かれるって、いかに韓国だからといって、それはないんじやない? しかも手下の男が自首して出て、刑務所の中で寸前で阻止するなんていう演出もあざとすぎる。韓国の司法当局はどうなってるの? ほかの映画でも韓国の警察は無能に描かれることがあるから、こういう映画のウソみたいなものは韓国映画では許されるのだろうか?

 もっとよくわからないのは、突然意味なく入水自殺する女性がいたり、街でソナの背中に服をかけてくれたりする人がいたり・・・ってこのシーンなに? かと思うと海岸に埋めたハンギとソナの寄り添う写真。このふたりの服装はそれまで一度も無かった服装で、いつ撮影したものなのか、誰が撮影したものなのか。盛りあがそうなものなら何でも入れちゃえばいいってことなんでしょうか?

 わからない。さっぱりわからない。別にそれでいいんだ、リアリティを重んじてなんかいないんだ、と言われれば納得せざるを得ないのだけど。

 ラストは、落語『お直し』みたいにケコロになるふたり。もうこうなると、勝手にしてくださいというしかない。韓国では大評判になり賞も取ったらしいけれど、こういうの韓国では評価が高いんですかねぇ。

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