ウルヴァリン:SAMURAI(The Wolverine) 2013年9月18日 シネマスクエアとうきゅう ハリウッドが作った日本の観光映画なんだから、誤解に満ちたヘンなシーンがやたらに出てくる。こっちももう、『007は二度死ぬ』以来諦めちゃっているから、むしろもう勝手にやってもらい、珍妙な日本を楽しませてもらうに限る。そう一旦割り切ってしまうと素直に面白がって観られる映画だ。 例によって現代の日本に忍者がいる。 芝の増上寺で闘っていたのがいつのまにか秋葉原にいて、さらに上野にいる。 上野から新幹線に乗れば、それが東海道・山陽新幹線。 やたら身体能力の高いヤクザがいて、ありえないほど早いスピードの新幹線の屋根で闘う。 途中下車した大都会から路線バスで、あっという間に長崎の田舎に着いてしまう。 その長崎に東京から車を飛ばせば、あっという間に着いてしまう。 もうそんなことにいちいちツッコミを入れていると本筋もわからなくなる。いや、本筋っていうのもいい加減なんだけど。まあ、もともとがマーヴェル・コミックなんだし、ようするに現実のものじゃない。好きにやればいいだけのこと。 ただ、どうしても気になったのは冒頭のシーン。太平洋戦争のときになぜウルヴァリンが長崎にいるのか説明はないのだが、長崎上空に原子爆弾を積んだB29が飛来してくる。すると三人の兵士が地べたに座り込んで、いきなり切腹する。なんじゃこりゃ。これはちょっと日本文化を知っていれば、これはありえないということだけはわかるはずなのに。 それと井戸みたいなところに入って蓋をしていれば、原爆を落とされても放射能の影響を受けないで済むって、そんな単純なものじゃないでしょ。なんか最近のハリウッド映画って、原子爆弾は海に落とせばいいとか、宇宙からの侵略者は原子爆弾で退治とか、原爆を軽く見ているような気がする。 面白い映画だったけど、どうも冒頭であれをやられると引っかかったままで、それほど素直には楽しめなかった。 9月19日記 静かなお喋り 9月18日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |