風雲電影院

WOOD JOB〜神去なあなあ日常〜

2014年5月22日
TOHOシネマズ日本橋

 矢口史靖監督の映画は好きで、『秘密の花園』(1997年)以来、ほとんど封切りで観に行っている。
 『ウォーター・ボーイズ』『スイングガールズ』と続く学校のクラブ活動ものは、私が中学生時代に水泳部、高校生時代に吹奏楽部を経験しただけに、ズバリとその世界に浸ることができた。
 これが興行的にも当たったらしく、矢口監督の撮る映画は、以降、みんながあまり知らない世界を取材して、それをコメディ映画として作り上げていく方法論が主流になる。『ハッピー・フライト』では航空業界。『ロボジー』ではロボット開発。それで今度は林業ときたので、目の付け所がうまいなぁと思っていたら、原作ものだと知って驚いた。

 三浦しおんの『神去なあなあ日常』。でもどう考えたって、いかにも矢口史靖の匂いがするし、映画化するに際し、かなり取材もしたろうし、矢口史靖なりの脚色がされているような気がする。
 まず何といっても、主人公が林業をやってみようとする動機。パンフレットに写っていた女の子がカワイイのでって、そういう軽薄さは矢口史靖乗りだし、どうやら原作はそこまでいい加減な主人公でもないらしい。

 一ヶ月の研修の厳しさについていけず脱走しようとするとこや、さらに一年間の見習いにも音を上げて脱走しようとするとこも、いかにも矢口史靖らしいし。

 パンフレットに写っていた女の子が実在したとわかると今度は、一念発起で頑張りだす。女の子が届けてくれたおにぎりを、お地蔵さんに半分お供えするシーンがあって、何の意味も無いシーンだと思っていたら、最後にちゃんとこのエピソードは回収されるのもうまい。

 子供の使い方も、いつものことながらうまい。こういう悪がきが出てくるところも矢口史靖だよなぁ。

 一年の見習いが終ったあとのところは、まあ、そうなるだろうねっていう終わり方。新緑が美しい。

 クレジットタイトル後のオマケも楽しい。

5月23日記

静かなお喋り 5月22日

静かなお喋り

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