October.7,2001 200万人のひとり

        NHKテレビ『ためしてガッテン』で眼病の特集をやっていた。それによると日本の緑内障人口は200万人。しかも自覚して治療を受けている人はそのたった2割だという。40万人もの人が緑内障に罹って通院しているのだ。しかも潜在的な緑内障患者は160万人もいる計算になる。私の通う病院眼科待合室は人が溢れかえっている。下は生れて間も無い赤ちゃんから、上は車椅子の老人まで。診察室から漏れてくる先生と患者さんの話を聞くでもなく耳にしていると、緑内障の手術をする人、手術をした人の会話が聞こえてくる。つい3ヶ月ほど前は、私は手術をうけなければいけないと宣言され、うろたえていたものだった。

        手術で目に小さな穴を開け、水分が流れるようにするという説明を聞いた瞬間に凍りついてしまった。きっとこんな説明を受けて動揺してしまうのは私だけではないはずだ。目に刃物が入る。生理的にかなりキツイ。『アンダルシアの犬』という有名なインデペンデント映画がある。羊の眼球をカミソリで切るシーンがあって、そのシーンだけは何回か見たのだが、とうとう本編を通して見る気になれなかった。そのくらい目に刃物が入るというのはゾクゾクとするくらい不快な気持ちになる。

        前回の診察から一ヶ月が経った。間に町医者で一度眼圧を測った。右19、左20。ほぼ適正値ギリギリ。ジワジワとまた眼圧が上がってきてしまっている。「眼圧って変化するからね。まあ、あんまり気にしない方がいいよ」と先生は言ってくれたが、やっばり心配だった。一ヶ月ぶりに大病院での診察を受ける。右14、左15。「いいみたいですね」と言って下さった先生の言葉にホッとする。

        「それではね、目薬を少しづつ減らしていきましょう。まずはステロイドのフルメトロンを0.1から0.02という薄いのにしてみましょう」 よかった。手術の可能性はだんだんに遠のいてきた。まさにラッキーだったとしか言いようが無い。40歳を過ぎたら、総ての人に緑内障の危険がある。しかもあまり自覚症状がないのが怖い。ちょっとでもヘンだと思ったら眼科へ行くことをお薦めする。

        眼圧と共に心配だった血圧も、内科に行ったところ、ごく弱い降圧剤と漢方薬で下がった。高血圧なんて自分には関係ないと思っていた。もう若くない。そんなことに気を使わなくてはならない歳になってきちゃったんだなあ。

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