September.8,2000 餃子丼

        夕食に餃子を作った。いつものことではあるが、皮に包み終わったら、中の餡だけが余ってしまった。これを使って、新メニューが何か作れないか?

        蕎麦屋の定番に、どんぶり物がある。天丼、玉子丼、親子丼、カツ丼、カレー丼といったところが一般的。玉子丼にトンカツを入れればカツ丼、鶏肉を入れれば親子丼。鶏肉の代わりに豚肉や牛肉を入れれば他人丼。また、油揚げを入れたものは木の葉丼。これはきつねが化ける時に頭に木の葉を乗せることからきたものらしい。その他、天ぷらを入れて玉子でとじれば天とじ丼。あと、なんかあったかなあ。この、玉子丼を基本として、中の具を工夫することによって、さらに様々なメニューが作れるはずだ。よし、とりあえず、この残った餃子の中身を玉子でとじてご飯に乗せる、餃子丼を作ってみよう。

        ええっと、毎日仕事でやっているように、まずは底の浅い親子鍋に蕎麦汁を入れまして、火にかける。そこへ余っちゃった餃子の餡を入れてっと。あっ、は豚挽き肉、キャベツ、ニラといったものね。それにニンニクと生姜。肉が生にならない程度によく煮てっと。さあて、上から溶いた玉子をかけて出来あがり。

        うーん、旨そうではないか。ちょうど昼も一段落ついたところだし、お店で食べよう。お店で売ってないものを食べるから、お客さん、羨ましがるかもね。では、一口。おお、旨いではないか! これはいけるよ。十分に商品になるかも。ほおら、さっきからお客さんがチラチラとこっちを見ている。えっ!? 何? 臭い? おおおおお、き、気が付かなかった! バカに臭うではないか。店中がニンニクとニラに臭いで一杯だ。食べている本人は気が付かないんだよね。だめだ、これを商品化したら、臭いが強すぎて他のお客さんの迷惑になってしまう。餃子丼の企画はボツだな。旨いんだけどね。


September.4,2000 玉子豆腐そば

        「ええっと、急に始めるって言ったって、どうすりゃあいいんだ。困ったなあ。冷蔵庫に何か入ってないかなあ。おっ、玉子豆腐がある。ああ、3つで1パックになっていたやつで、ひとつ余っちゃったんだっけな。ようし、これを、かけそばの中に入れてやろう。玉子豆腐そばだ」

        「さてと、汁を火にかけて、玉子豆腐をその中に入れて―――っと。豆腐の類って、なかなか芯まで温まらないんだよな。グツグツグツグツ。それじゃあ、蕎麦を茹でて―――っと。玉子豆腐はもう温まったかな? よし、いいだろう。茹であがった蕎麦の上から玉子豆腐の入った汁をかけよう。さあ、出来あがりだ!」

        「ふうん、玉子豆腐がトローっとして旨いじゃない。うんうん、結構いけるかも。ただなあ、ちょっと淡白かなあ。もう少し、他の具を加えるとかして工夫の余地がありそうだな」

        「ところで、この玉子豆腐、いつ買ったやつだっけ。ま、待てよ! 賞味期限が切れているわけじゃないだろうな。玉子って食中毒起こすと悲惨だからなあ」

        それから2時間後、私はトイレから出られなくなっていた。よく考えたら、あの玉子豆腐を買ったのは、2週間ほど前。やっぱり賞味期限は、とっくに過ぎていたらしい。別に話を面白くしようとして書いているのではない。これは実話である。トホホホ。

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