January.18,2002 すりおろし力うどん

        正月、皆様もお餅を食べられたでしょうか? 日本人なら正月はお餅でしょう。いや、最近は正月以外は餅なんて食べなくなってきているのかもしれない。しかし蕎麦屋へ行けば1年中餅が食べられる。力うどんです。このネーミングはおそらく[力持ち]から来たものだと思うが、なんとまあ昔の人は洒落た名づけ方をしたものでしょう。今だったら絶対にこんなことを考え出すセンスを持った経営者はいないに違いない。

        雑煮って、各地でいろいろな作り方があるでしょうが、ウチで作るのは、もう年末の残り物ですね。出し汁に塩と醤油を入れて味を整えて、大根、ニンジン、ネギ、タケノコ、シイタケ、それと鶏肉を入れて煮る。そこに網で焼いた餅を入れて再び煮て出来上がり。お椀によそってミツバをパラパラ。これが定番です。私が好きなのは餅を入れてからグツグツとさらに煮込んじゃうの。そうすると餅が溶けてきちゃって、汁がドロドロになる。これが旨いんだ!

        テレビのワイドショウで[我が家のカレーライス]といった企画で視聴者からそれぞれの家庭のカレー自慢を募集していた。その中で、カレーを作ったときに最後に切り餅をナマのまますりおろして入れるというのがあった。これによってとろみが増すらしい。なあるほど。それはいいかもしれない。

        その瞬間、私の頭に閃いたものがあった。力うどんをすりおろした餅で作ってみたらどうだろう。さっそくナマの切り餅をおろし金ですりおろす。これが思っていたよりも難事業だというのがおろし始めてすぐにわかった。大根やショウガと違って、餅はおそろしく固い。かなり力を入れて擦らないとおろせない。また、当初想像していたのは、おろすと粉状にパラパラとなるはずだと思っていた。ところが実際におろしてみると、おろした餅はお互いにくっつき合い丸まっていってしまう。

        当店の力うどんは餅がふたつ入っている。ナマの餅をふたつすりおろして入れてみようと計画していたのだが、途中で断念してしまった。一個だけすりおろし終わる直前でギブアップ。かけ汁を煮たて、すりおろした餅を投入する。しばらくすると沈んでいたすりおろし餅がブワーツと表面に浮き上がってきた。火を止め、暖めたうどんの上にかけて出来あがり。これだけだと寂しいので、ほうれん草と揚げ玉を乗せる。

        いただきまーす。うーん、これは確かに私好みのドロドロ雑煮汁になった。しかしですね、やたらにカスのようになった餅が歯にまとわり付く。食べ終わったあとも口の周りが気持ち悪くて、洗面所に行って歯を磨いた。これはどうもなあ。

        しかしまだ諦め切れないでいる。すりおろしはしなくても、もう少し細かく餅を砕いて汁に入れて煮たてるということをしてみようかと思っている。またカレー南蛮うどんにすりおろし餅を入れてみたらどうか。うまくいったようなら、また報告してみたいと思う。


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