第九回笑福亭三喬独演会 2015年7月18日 深川江戸資料館 三喬二番弟子笑福亭喬介。落語を楽しく聴くための、あいうえお五箇条というマクラが楽しい。「あ・・・あくびをしない。い・・・いびきをかかない。う・・・うろうろしない。え・・・笑顔で聴く。お・・・おかしくなくても笑う」。なんや、これ、落語家が話しやすいようにするための五箇条やないけ。ネタは『兵庫船』。東京では滅多に聴けない噺。ほとんど『鮫講釈』にしちゃったのしか聴いたことがない。 今回、笑福亭三喬は夏の噺三席だそうだ。その一席目が『道具屋』。この噺が夏の噺だとは思わなかった。まあ、露店の噺だもの夏なのかもしれない。師匠(松喬)から二本目に教わった噺だそうだ。この人はこういう軽い噺を演ると、とんでもなく面白い。聴きなれた噺なのに、なんでこんなに面白いんだろう。露店の道具屋の客が笛に手を突っ込んで指が抜けなくなったとみるや、買い取ってもらわなけれは困ると言って値段をふっかける。実家の屋根も葺き替えなくちゃならないし、新国立競技場の屋根と同じで、2500億円! 二席目が『蛇含草』。へえー、これも夏の噺になるのか。餅を食べる噺なので冬かと思っていた。サゲに入る前に「さあ、サゲの時間です。サゲを聴いて、思ってはいけないことが三つあります。ひとつ、『ああ、そうなると思った』。ふたつ、『日本昔ばなしで観た』。みっつ、『東京の、そば清のパクりだ』。アハハハハ。 三喬一番弟子の笑福亭喬若は『野ざらし』。東京のものとほとんど変わらない。男が想像の中で女とじゃれ合っているところが、やたらくどくて可笑しい。 三喬、三席目は『次の御用日』。これは東京で演る人はほとんどいないだろう。私は快楽亭ブラックで聴いているだけだと思う。それくらいクセのある噺で、東京落語に向かない。そしてこの噺は文字で読んでもその可笑しさは伝わらないし、この噺のことを書いてみても面白さを伝えることがだきない。とにかく聴いてもらうしかないし、変な噺としかいいようがない。三橋がこの噺をネタおろししたときに、初めてこの噺を聴いたお客さんで怒り出した人がいたんだとか。それもなんとなくわかる気がする。 7月19日記 静かなお喋り 7月18日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |