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客席放浪記

七人ぐらいの兵士

2015年7月15日
シアターコクーン

 生瀬勝久が脚本を書いて、明石家さんまと共演した舞台の15年ぶりの再演。私は明石家さんまにまったく興味を感じなかったので初演当時は観たいと思わなくてパス。そうしたら知人が、さんまが凄く面白いと言っていたので、観なかったことを悔やんでいた。というわけで、この再演はとても楽しみにしていた。

 上演時間は「3時間ぐらい(休憩なし)」としか書かれていない。この「ぐらい」というのがくせもので、途中、さんまを始め、出演者にアドリブを要求する場面があり、これが長引くと、どんどん上演時間が増えて行ってしまう。やはり明石家さんまが面白がって長くしているようだ。ひとりでわざと引き伸ばして楽しんでいる。それがまた可笑しいのだけれど。このボケのアドリブがあったかと思うと、ほかの出演者たちにアドリブをやらせ、それを突っ込むのが、これまた絶妙。ただ、さんまは舞台だと声の通りが悪い。何を喋っているのかわからない個所がずいぶんあった。この人はやはりテレビ向きなのかもしれない。もっとも私は明石家さんまの出るバラエティ番組はまったく観ないのだが。

 実は、私が最初に想像していたのは『オレたちひょうきん族』のコントのようなものだろうと思っていたのだが、しっかりしたストーリーのある芝居だった。中国の日本人基地。そこに偶然、大阪で漫才コンビを組んでいて、今はケンカ別れをした生瀬勝久と明石家さんまが再会する。そんな折、日本から慰問団がやってくることになる。この慰問団の出し物の最期に「兵隊さんの時間」というものがあり、そこで面白いことをやって認められれば除隊して慰問団に入ることができるという噂が流れる。兵隊たちは、それぞれコンビを組み始め、漫才の稽古を始める。このあたり、漫才とは何か、笑いとは何かというテーマが出てきて、なかなか面白い。

 「いやだなぁ」と思ってしまったのはラスト。ああいう終わり方しかなかったのだろうけど、兵士たちが何の意味もなく玉砕していってしまうって、とても後味が悪い。戦争が終わって、みんな笑いながら日本に帰るでもよかったんじゃないかと思うのだけど・・・。

7月16日記

静かなお喋り 7月15日

静かなお喋り

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