落語青田会 2016年5月6日 お江戸日本橋亭 以前は二ツ目というと、なかなか発表の機会がなく苦労していたと思うが、最近は、深夜寄席、早朝寄席の入りも良く、盛況の日本演芸若手研精会、[連雀亭]の登場など、二ツ目さんを取り巻く状況も変わってきている。この『落語青田会』も、そんな二ツ目さん応援の会のひとつ。今日は桂三木男と桂竹千代が二席ずつ。 開口一番、前座さんは古今亭今いちで『手紙は笑う』。前座修業頑張ってね。 桂三木男の一席目は新作『お化け遊園地』。さっぱりお客さんが来なくなってしまった遊園地。そこのメリーゴーランドに幽霊が出る。それが落馬した侍の幽霊という発想が可笑しい。霊界には立川談志と三遊亭円楽が来ていて二人会をやっているが、ふたりともまだ前座というのもいい。 桂竹千代は去年の9月に二ツ目になったばかりだそうだが、どっかで観たなと思ったら、3月に可龍の会で観ている。あのときは『真田小僧』。なんだかやけに面白い『真田小僧』で、この人面白いと思ったのだった。それで今日の一席目は『千早ふる』。 『ちはやふる』というコミックが出たり、アニメになったり映画になったりしたこともあり、この落語もだいぶ知られるようになったけれど、私ら落語好きは、これがかかると、「ああ、千早ね」と、よっぽど変わった演出でもない限り、半分聴き流しながら聴いてしまうのだが、竹千代のは、この歌に、さらなる新解釈を加えた改作版『千早ふる』。タツタガワとは川の名前でも相撲取りの名前でもなく、鶏の竜田揚げの皮だという発想から始まる解釈。これは可笑しいなぁ。また面白い二ツ目が芸恊から出てきたようだ。 仲入り後のクイツキが、小泉ポロンのマジック。三つの複合トリックのトランプ当て。おそらく二つがマジシャンズ・チョイス。もうひとつが手順を間違えたとみせた目くらましなんだろうけれど、鮮やかなもの。 桂竹千代の二席目は、新作『廻り酒』。へえ〜、竹千代って新作もやるんだ。『千早ふる』の改作をやるくらいだから、やっていておかしくない。貰い物の日本酒を、酒は飲めないとか、日本酒は嫌いだとかの理由で、受け取った人がよそに回していってしまう噺。どうやら共演者が必ず登場するという仕掛けがあるようで、楽しく聴ける一席だった。 トリは桂三木男の『お化け長屋』でビシッと決まった。貸家を借りに来た二人目の乱暴な男いかにもな感じでいい。今日は三木男、お化け二席。三木男を聴くのは久しぶりだった。以前のようなちょっと鼻につくような芸風が消えて、いい噺家になったなと感じた。化けたのかもしれない。 5月7日記 静かなお喋り 5月6日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |