浅草演芸ホール十一月上席夜の部 2012年11月1日 浅草・浅草演芸ホール 例によって19時を回ったあたりで入場。 仲入りが終わって、クイツキの隅田川馬石が『強情灸』の最中。だんだん火が回ってきて熱さに堪えて饒舌になる男の表情が見どころ。石川五右衛門の辞世の句とされる「石川や 浜の真砂は尽きるとも 世に盗人の種は尽きまじ」の下の句を「我泣き濡れて蟹とたわむる」にする型はよく耳にするが、「溶けて流れりゃ みな同じ」も可笑しいやね。 アサダ二世。風船の中から、お客さんの選んだカードを出すマジック。話術で気をそらせるテクニックはさすが。これ、いつも不思議だと思うのだが、私がなんとなく、こういうトリックなのではないだろうかと思っている方法があるのだが見抜けない。確かにお客さん、みんなついつい、つり込まれちゃって肝心のところの動きを見ている余裕ないもんなあ。 柳家小里んは『碁泥』。タバコ好きというのは困った存在で、一番始末に悪いのが床に焼け焦げを作ってしまうという人。しかもこの噺のように碁に夢中でしかもタバコ好きっていうのは最悪。それでも、碁に夢中になるあまりおかみさんが出した煙草盆の炭に火の代わりに真っ赤なカラスウリを乗せても気が付かないというのは、どこかカワイイ。 金原亭駒三が『親子酒』。息子はともかく、親父さんが酒を飲みたいという気持ちが、つくづく伝わってくる。禁酒の誓いを立てても、「明日の朝、生きているとは限らないんだから」と言われちゃあ、飲ませてあげたくなるやね。一杯飲むと「ふわぁ。命が延びるねえ」って、この気持もわからないではない。「お前は、私が、寿命が延びると言うと、嫌な顔する」 アハハハハ。 ロケット団の漫才。四文字熟語→山形では→こっちのキンちゃん、あっちのキンちゃん。間に挟まった色物さんって時間調節に使われやすいけど、彼らは伸縮自在の鉄板ネタが多いのが強み。 時間調整といえば、春風亭勢朝も漫談の名手だから伸縮自在。都知事を辞任して国政に復帰しようという石原慎太郎。「弟の墓に参拝して、『俺が嵐を呼ぶぜ』と言ったとか。すると裕次郎が『俺は待ってるぜ』」 翁家勝丸の太神楽。五階茶碗に傘回し。浅草演芸ホールは天井が高いから立ちでも出来そうだが、座布団に座ったままで。 トリは桃月庵白酒の代バネ、古今亭菊之丞で『子別れ』。落語には鰻を食べたくなる噺がいくつかあるが、これもそのひとつ。亀ちゃんは鰻が好物。「おとっちぁん、近頃、鰻って高いんだってな」「ああ、高いな」 それでも子供に鰻を食べさせてあげたいと思う親心。子供のためなら安い安い。それでもホント、近頃鰻はどんどん高くなるよなあ。トホホホホ。 11月2日記 静かなお喋り 11月1日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |