浅草演芸ホール十二月下席昼の部 2012年12月25日 13時すぎに途中から入場。 高座は神田松鯉の講談『荒木又右衛門 奉書試合』の最中。又右衛門の真剣白刃取りの一席。こいつは初っ端から威勢がいいや。 「以前はよく友達の結婚式に司会を頼まれました。『いいよ、ギャラは?』と訊くと、『友達だろ?』と言われる。『じゃあ、お祝金はいいね。それでチャラで』と言うと、『友達だろ?』なんて言われる。なんのことない金払って仕事してました。今はもうそんな友達の葬式にばかり行ってる」 三遊亭右門は『都々逸息子』。 すっかりテレビでも人気者になったナイツは、生粋の浅草芸人。人気者になってもツービート以来伝統の毒舌は健在。「美人すぎる」、「イケメンすぎる」ネタで爆笑を取る。これぞ浅草漫才だね。 春雨や雷蔵は、この寒い季節ネタ『権助提灯』。風邪の強い寒い夜に本妻さんとお妾さんの間をたらい回しされる旦那の可笑しさは、この季節ならではのもの。いかにも寒そうだなぁ。 「最近の学生は物を知らないですな。七輪って何だかわからない。『0.7%ですか?』だって」と春風亭柳橋は『子ほめ』へ。 東京ボーイズの歌謡漫談。よく考えると、ウクレレと三味線という編成は凄いよな。八郎が『夜明けのスキャット』を歌いだすと、隣で六郎が三味線で伴奏をつける。合わねぇー。アハハハハ。 三遊亭遊三はいつものマクラから『親子酒』。この人はほんと、浅草のお客さんに受けがいい。客層をよくわかって演っている気がする。 仲入り後は、古今亭寿輔から。「そこのお客さん、ずーっと寝てる。いんですよ、ここは寝るところですから。どうぞ寝ててください」と早くも客いじり。「ボケだけは人間ドックじゃわからない。ボケは寄席に来るとわかる。あたしの落語で笑わなかった人はボケです。今日は後ろに五人ほどいる」アハハハハ、テキヤだね、まるで。今日も老人が多いから大受けの『老人天国』。 東京丸・京平が三日前に観に来た時にやっていた、見合い相手の仲人さんを待っている男と、中古車販売ディーラーの勘違いネタをまたやっている。三日前は京丸がネタをしっかり憶えてなくてグダグダに終わってしまったが、今日もあまり変わりない。どうも下ネタなので、グダグダに終わらせてしまうという作戦なのかもしれない。いい年をしたおっさんが、どことなく恥ずかしそうに下ネタをやっているのが可笑しい。 三遊亭小遊三は『笑点』のレギュラーとして知名度があるから、『笑点』の裏話をして客を引き込む。それだけで終わるのかなぁと思ったら、どこからでも始められて、どこで終わってもいい『弥次郎』を短く。 春風亭小柳枝は、いい意味で癖のない落語を演ってくれる人。この人の落語を聴いていると「きれいだな」と思う。今日の『金名竹』も、惚れ惚れするような流れに乗って。大阪弁の言い立ても東京人には意味不明で、それでいてところどころが伝わってくるという、うまい話し方だ。 ボンボンブラザースを久し振りに観たら、以前やっていたゴルフボールを使った曲芸を蝋燭に変えてやっていた。まあるいゴルフボールだから出来る曲芸かと思ったら、棒状の蝋燭でもできるんだね。しかも四連ではなく六連だ! トリが古今亭今輔。「火のついたタバコを持って歩いている人いるでしょ。そんな人に限って手を振って歩くストロークが大きい。前からガソリン被って歩いてきた人がいたらどうするんですか!?」 アハハ、そんな人いないって。でも歩きタバコは危ないよ。 ネタは『サンタのせいじゃ!』 三年前のネタおろしのときに聴いて以来。サンタクロースの存在を40歳を越えてもまだ信じているヤクザの組長の息子の噺。そんなヤクザはいないだろうけど、この発想がユニーク。二人のチンピラや組長の息子の演じ分けが進化していて、ネタおろしのときより格段によくなっている。お客さんの受けもよくて、いいクリスマスネタが出来上がったなという感じだ。 12月26日記 静かなお喋り 12月26日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |