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客席放浪記

浅草演芸ホール九月上席夜の部

2013年9月1日

 仲入り時、割引料金で入場。

 柳亭燕路『粗忽長屋』。自分の死体だと言われた亡骸と対面した熊さん、どうも納得がいかない。死んだ当初は実感が湧かないが、だんだんジワジワーッと感じるようになって、初七日くらいに初めて死んだ気になるんだと言われてるが、これってほとんど詐欺の手口みたいなものだね。

 すず風にゃん子・金魚の漫才。金魚ちゃんの巨大な髪飾り、九月に入ったから、お月見団子を乗せてる。にゃん子ちゃんは、金魚ちゃんから「漫才界の、はるな愛」なんて言われているけど、ホント似てる。ニューハーフ似ていうのは、喜んでいいのか微妙だけど。「にゃん子ちゃん、お酒好きで、焼酎のボトル、すぐ空いちゃう」 「失礼ね、一時間はかかる」

 次に上がった古今亭志ん輔が「立ち飲みって旨いかっていうと・・・旨いんですね」とお酒の話題が続く。「また寄席の近くには立ち飲み屋が多い。もつ焼き屋、身体に悪そう。にんにくと唐辛子を練り込んだ味噌つけてね、もう下品のカタマリ。こんな下品な物・・・旨いんですねぇ。デパートの屋上のビアガーデンなんてね、アルバイトのにいちゃんがいい加減に注いだ生ビールでしょ。あんなもの旨いわけ・・・旨いんですよぉ」 う〜、落語なんてどうでもいいから、飲みに行きたくなっちゃうよ。ネタも『替り目』

 柳家さん八は、1944年生まれというから、そろそろ70代も迫ってきているか。歯茎が弱ってきているとマクラでぼやく。「虫歯じゃないですけど、歯茎が弱っていて歯がガタガタ。先日、犬歯が一本抜けちゃってテーブルに置いておいてら、女房がそれを箸置きにしてる」 色っぽくないマクラだなぁと思ったら、『紙入れ』のおかみさんは色っぽい。

 和楽社中、今夜は和楽、小楽、小花

 「日本は強欲ですから、外国の行事まで取り入れちゃう。バレンタインデイにチョコレートを贈るなんて。チョコレートは駐留軍から貰ったものですよ。さらにホワイトデイなんてあって倍返しだなんて。倍返しは銀行員に任しとけばいい」 柳家権太楼『つる』は、もうこの人ならではの世界。右横に大きく身体を倒す所作は、ほかの人がやると、物真似になっちゃう。「オスの首長鳥が、とうもろこし咥えて飛んできた」ってなんだかバカバカしいおかしさ。

 柳家小菊は『さのさ節』を聴かせてくれて、夏の唄『両国風景』。「夏の唄なんでこれで今年は終わりとお思いでしょうが、10月になっても、11月になっても演るんですよ」

 トリは柳家三三『青菜』。この噺が聴かれるのも、またそろそろ今シーズン終わりかな。三三の植木屋さんは、なかなかにカワイイ。女房に、「鞍馬より牛若丸が出でまして・・・」のくだりをお前に言えるかと言って、女房から「なら、お屋敷に住んでみろ」と切り返されると泣き出してしまうし、大工に「菜のお浸しはお好きかな」と訊いて、「嫌ぇだよ」と返されると泣き出してしまう。かわいそうね。

9月2日記

静かなお喋り 9月1日

静かなお喋り

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