浅草演芸ホール九月上席夜の部 2014年9月7日 今日も仲入り後割引で入場。 三遊亭丈二は、よくマクラで話している、尿道結石で救急車を呼んだ話。この漫談だけで、持ち時間いっぱい。突然の病気でアタフタする様は、可哀そうというより笑いをさそう。この客観視ってなかなか普通の人には出来ないんだよね。 青空遊兵・かほりの漫才。これもよくやっているスローフード弁当のネタ。こちらも動物可哀そうネタなんだけど笑えるんだよね。 古今亭志ん輔は、『夕立勘五郎』。これ、面白いなぁと思ったのは、寄席の浪曲師とお客さんの掛け合いの内容。これを遠くからやりあうせいか、上下(かみしも)がないのね。両者正面を向いて話す。なるほど。 柳家小里ん、『二階ぞめき』。別に女好きとか遊び好きとかいうんじゃない、ただ吉原を冷かして歩くのが好きっていう若旦那。でもこれって一応二階にセットは作るんだけど、全部空想で楽しむんだから、今でいう部屋でゲームの世界に没頭してしまうニート? 伊藤夢葉のマジック。タネがまるわかりのマジックから、タネを説明してくれるマジック。そして本当にタネがわからないマジック。この緩急の付け方が楽しい。 桂才賀は、上野駅周辺の人々のスケッチをする漫談。ちょっとネタとしては古いなと思うのだが、浅草のお客さん受けはいい。 ♪夕立のザッとふるほど 浮名をたてど ただの一度も濡れやせぬ 柳家小菊の粋曲。「秋らしくなってきましたが、台風が来たとき、あのちっちゃな虫たちはどこにいるんでしょうね。台風が行ってしまうと、どこからともなく出てきて、また鳴きだす。尊敬しようかと思うけど、やっぱり虫は怖いから嫌い」って、女性らしいね。 この日、横浜の会で二席演って、上野鈴本に出て、こちらにトリを取るためにやってきた柳家喬太郎。マクラも無しにスッと『心眼』に入った。浅草の客に『心眼』は意外だったが、さすがに喬太郎だ。それまで古臭いギャグに反応していたお客さんがピリッと締まって、噺に引き込まれているのがわかる。ところどころで笑いを入れたり、『二階ぞめき』を拾ってみせたりするとドッと笑いががある。いやいや、浅草のお客さんをあなどっちゃいけない。みんに真剣に聴いてるよ。心に刺さってくるサゲで喬太郎が頭を下げると、一拍置いて盛大な拍手が響いた。サゲを言ったら人より早く拍手しようなんて、へんに通ぶったお客さんなんていない。だから私は浅草で落語を聴くのが好きなんだろうな。 9月8日記 静かなお喋り 9月7日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |