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客席放浪記

浅草演芸ホール九月中席夜の部

2014年9月20日

 仲入り後割引で入場。

 ザ・ニュースペーパーはお客さんによく受けるなぁ。寄席に来るお客さんなんて政治には興味ないかと思いきや、政治家の物真似コントにドカンドカン反応する。今日は、前原誠司に管義偉に谷垣禎一だよ。皮肉たっぷりの内容に大受けだ。芸協は、いい色物を入れたものだ。大当たりだね。

 三笑亭可龍『弥次郎』は、北海道ではなくロシアに行ってきたという設定に直していて、これが可笑しい。ロシアにしたことで笑いのスケールも大きくなった。「バイカル湖にやってくる鴨が水に足を浸けた途端に凍ってしまう。その首を持って鎌で足を切っていく。でも十羽欲しかったら二十羽狩らなくてはならない。バイカル湖と言って」

 桂文治の代演は、桂米福『鮑のし』なのだが、“のし”まで行かず、手前でサゲた。なるほど、この“のし”の由来の部分というのは今では伝わりにくいし、あまり面白くない。あえてそこまで行かなくてもいいってことなんだろうなぁ。それと一時期、この噺、「津波」が使えずに寄席から姿を消したときがあった。あの部分「いずれ長屋から繋ぎが来ます」のところを、「いずれ名古屋からツマミが来ます」と逃げたところがうまいなぁ。

 北見伸スティファニーのマジック。今、寄席で一番華やかなマジックをやるのがこの人たち。大きな道具を持ち込むし、女性をアシスタント兼マジシャンとして使うのも華やか。

 昔々亭桃太郎『カラオケ病院』は柳昇から受け継いだネタだが、自分なりに大きく作り直しているから、またガラッと変わった印象になっている。これ、次の世代に受け継がれて行くたびに、曲変わっていくんだろうなぁ。

 ぴろきのギタレレ漫談。「おふくろが久し振りに手料理を作ってくれました。台所でピーマンを咥えながら料理を作っていました。何かと思ったら、料理用の調味料、ピーマンをくわえて作るチンジォロースーでした」

 「今回の芝居、桃太郎師匠の機嫌がいいんですよ」。トリの三遊亭遊雀が言う。「桃太郎師匠のオッカケの小学生がいるんです。一番前に座って、リクエストがね、『カラオケ病院』に『柳昇物語』。こんな小学生いないと思うでしょ?」 そうだよなぁ、柳昇はもう11年前に亡くなっているし、『カラオケ病院』で歌われるのは懐メロの替え歌ばっかり。小学生じゃわからんでしょ。
 ネタは『電話の遊び』。演じ手が少ない噺だ。私もナマで聴いたのは遊雀のみ。前に出た『弥次郎』『カラオケ病院』も噺の中で拾い、ぴろきの♪明るく陽気にいきましょう も拾ってみせて大喝采。この噺は鳴り物が入って、それが大きなミソなのだが、楽屋のおねえさんとの息もぴったり。

 このところとみに、ホール落語よりも寄席が好きになって来た。とくに浅草は通ぶった落語ファンは少なくて、自然体。こういうところで二時間ほど過ごしてくるのが丁度いいな、私には。

9月21日記

静かなお喋り 9月20日

静かなお喋り

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