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客席放浪記

浅草演芸ホール四月中席夜の部

2015年4月11日

 仲入り後割引で入場。

 女子アナの、読み間違い事故のマクラから、それに近いサゲになる『町内の若い衆』へ持って行った春風亭柳朝。うまいね。友人に頼まれて、奥さんが留守番している友人宅へ行って家を褒めてくれと言われた男がやってくると、黒ずんだアブラムシが凄い速さで走っている。「武豊を乗せてみたいね」

 翁家社中の太神楽。和楽が亡くなって、和楽社中から翁家社中に名前が変わった。小楽と和助のコンビ。若い和助が引っ張っていくようになった。傘、ひとつ毬。ナイフの交換取りは見事だけど三人でやっていたときのことをどうしても思い出してしまう。

 古今亭志ん橋『熊の皮』。この噺は実は難しい噺なんだなと思った。案外笑いが少ない噺で、なにげない夫婦の会話で引っ張らなくてはならない。若い噺家、特に未婚者が、この夫婦の生活の機微みたいなものを出せるようになるのは時間がかりそう。さすが志ん橋は、こういうのうまいね。

 柳家小ゑん『すて奥』。すてきな奥さん。7.5坪の三角形の土地、古い二階建てに住むご夫婦。子供が大きくなってきて部屋が欲しいところだが増築も難しい。「部屋なんか作るから引き籠るんだ」という旦那さんの主張は、ある意味正しいのかも。私が子供のころは、子供専用の部屋なんてなかった時代だったんだよなぁ。

 大空遊平・かほり。いつもながら安定した漫才。よく喋るかほりに、なんとも、のほほんとした遊平の夫婦漫才は癒される。遊平さんって実生活も、こんな感じなんだろうか?と、ついつい想像してしまう。

 古今亭菊之丞『親子酒』。親父さん、禁酒の約束を破って飲むほどに酔っぱらってしまう。「国会の採決サボって旅行行っちゃダメでしょ!」。そうだぞ、上西小百合! それに本当に体調悪いんならお酒飲みに行かないで大人しく寝てなさい。そういうときくらい禁酒しましょ(笑)。

 柳家小菊の粋曲。『きんらい節』『かえるぴょこぴょこ』をサラッと演って都々逸。「『三千世界の烏を殺し・・・』って都々逸、ご存じの方も多いでしょうけど、あれ、高杉晋作の作らしいんです。どんな素敵な方かと思ったら、写真残っちゃってるんですねぇ。興味がありましたら調べてみてくださいませ。笑っちゃいますから」。キツイこと言うねぇ、小菊ねえさん。〆は賑やかな『品川甚句』。

 トリは古今亭志ん輔『宿屋の富』。浅草演芸ホールの夜、とくに仲入り以後は比較的空いていることが多くて、前の方の席に座れたりする。落語はやはり演者の顔の表情がはっきりわかる前の方で観るのがベストだと思うから、ここの夜の部は大好きなのだ。志ん輔の顔の表情は豊か。さんざっぱら宿屋の主人相手に嘘の金持ち自慢した一文無しが、主人がいなくなった後に見せる表情とか、富クジが当たった時に見せる顔を震わせる表情が抜群にいい。最後は震えるあまり彦六になってしまうというギャグも笑いを加速させ、冴え渡った。

 自由席の至近距離で落語が気楽に楽しめる浅草演芸ホール。しかも夜遅くなら割引までしてくれる。この空間が私にはどこの落語会より心地がいい。

4月12日記

静かなお喋り 4月11日

静かなお喋り

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