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客席放浪記

浅草演芸ホール五月中席夜の部

2015年5月20日
浅草演芸ホール

 浅草まで歩いてくると、汗ばむ季節になって来た。17時30分ごろ入場。場内は冷房が入っている。

 高座では桂枝太郎がどうやら『源平盛衰記』をやっているようだ。「橋の上を牛若丸がヒラリヒラリ。さすがの弁慶、土地に手をついて『中一・・・中二・・・中三・・・高一・・・高二・・・笑い声が聞こえますが・・・大一』。

 東京丸・京平の漫才。最近はすっかりグズグズさ加減が持ち味になって来たけれど、今日は京丸が途中でネタを忘れてしまいグスグズ度がさらに増した感じ。聴いている方もどうでも良くなって、このクズグズ具合を楽しんでいるのがいかにも浅草だよなぁ。

 おっ、瀧川鯉朝『街角のあの娘』。へえー、今日は最近やってるハッピーエンド・ヴァージョンじゃないぞ。

 ここで立川談幸。立川流から落語芸術協会に移ってきての寄席での高座は初めて観た。芸協の噺家さんたちとは明らかに毛色の違う話し方。この人ひとり入っただけで、番組の様子がガラリと変わる。談幸も水を得たように寄席の高座を楽しんでいるようにみえる。芸協も談幸も、お互いいい結果になったんじゃないかな。ネタは『町内の若い衆』

 北見伸&スティファニーのマジック。ひと言も喋らずにマジックを進めていく。どのマジックを見ても目新しいものは無いのだが、手際が鮮やかで、ひとつひとつのマジックが引き立って見えるのがこの人たちの強み。この狭い高座で人体消失トリックをやってみせるんだもの、仕掛けを知らない人は驚くはなぁ。

 昔々亭桃太郎『金満家族』。桁外れな大金持ち一家というホラ噺だ。「娘の結婚相手は決まったのか?」「ユニクロの社長の息子と結婚するそうです」「一郎の結婚相手も決まったのか?」「ソフトバンクの社長の娘と結婚するそうです」「日本を買い取っちゃったようなものだな。こういうときはシャープの社長の子供と結婚させなくちゃいけないな」

 仲入り後は春風亭昇々から。間抜けな泥棒の噺『鈴ヶ森』。「先日盗みに入って七億円あったんで持って帰ろうとしたら腰痛めちゃって、その家に三日間御厄介になってきました」。これは『金満家族』のネタを拾ってるのね。

 春風亭柳太郎『カレー屋』。「このシーフードカレーっていうのはエビだのイカだのが入っているやつだね」「いや、越前くらげにオニヒトデ」

 東京ボーイズ。お馴染み謎かけ小唄。
 ♪三船美佳という人を 謎かけ問答でとくならば しつこい風邪とときまする 熱は冷めてもセキ抜けぬ
 ♪ポール・マッカートニーという人を 謎かけ問答でとくならば ホームレスとときまする イエ ステタ デイ

 三遊亭遊雀が珍しく『動物園』。最前列に座っている小学生らしき男の子を意識したのかな。おっ、サゲも少し変えてる。あ〜、こっちの方がわかりやいかも。

 昔は5月28日が両国の川開きと決まっていたそうで、春風亭柳好『たがや』。これからこの噺も寄席で多くなるね。

 ボンボンブラザースのいつもの曲芸。最前列の男の子に帽子を投げさせたり被せたり。先が長いお客さんだものね。サービス、サービス。

 トリが春風亭昇太。昇太といえば『笑点』ということで、マクラは『笑点』の話題一色。それを聴きたくて楽しみにして来ているお客さんも多いんだろうな。『笑点』の裏話で沸かせて、十八番の『壺算』。ドカンドカン笑わせて幕。

 外に出たら、雨。いけね、傘持って来なかったよ。

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