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客席放浪記

浅草演芸ホール五月下席夜ルの部

2015年5月24日

 今日も仲入りから。ちょっと遅れてしまってもう始まっていた。クイツキは三遊亭天どん『ドライブスルー』。マクドナルドの「この先300m」という看板が木の枝に隠れて見えなくなっていて、普通の民家にお客さんがやってきてしまう噺。たまたま冷蔵庫にチーズバーガーやフィレオフィッシュ、それに鯖味噌煮などの食べ残しがあったので、それを売ってしまう・・・って、ぷっび具合が、いかにも天どんらしい。

 『熊の皮』という噺は、登場人物が三人しか出てこないけれど、結構難しい噺かも知れない。夫婦の噺で、おかみさんの方が亭主より上の立場っていうのも人生経験の少ない若手には難物だろうし、またこの噺、演じ手の個性が出やすいのかもしれない。柳家さん助は、おかみさんを憎らしいまでに嫌な女にしている。しかもこのあと亭主の甚兵衛が訪ねて行くお医者さんも、なんとも毒のある人物。さらには甚兵衛さんまで、ちょっと捻れたところがある。なんとも人間嫌いな一席に仕上がっているなぁ。このブラックな味わい、嫌いじゃない。

 すず風にゃん子・金魚の漫才は、いつも変わらないないなぁ。まあ、このパターンが一番彼女たちらしいし、受けるんだろうね。「仕事ですから」。観るたび変わるのは金魚ちゃんの被り物。もう六月も近いのでジューンブライドということでウエディング仕様ということらしい。

 林家彦いちはお得意の『睨み合い』だが、演芸場の横を救急車が大きな音で通って、噺が中断されてやり難そう。緊張感のある噺で、初めて聴く人は「どうなるのか」と集中しているし、彦いちもそれを狙っているようなところがある。だから、こういうことがあって途切れてしまうと盛り返すのがたいへんそう。

 入船亭扇遊という人も寄席には無くてはならない人。奇をてらったことをやるわけではないが、きれいな芸だし、いつ何を聴いても引き込まれてしまう。文句なく上手い落語をする人。今日は『夢の酒』だ。もうこれを聴くと、猛烈に日本酒が飲みたくなる。燗もいいけど冷でもってね。

 ヒザのアサダ二世はカード当てのパターンを何通りも持っている人。今日のは、例によってベラベラと長話をしながらカードをシャッフルしているように見せかけていて、実はまったくシャッフルしてないんだろうなぁ。みごとにお客さんをマジシャンズ・チョイスに持って行く。うまいなぁ。

 トリの三遊亭白鳥。おおっ、久し振りに白鳥版『火焔太鼓』だよ。白鳥さんとこの噺というと、翁庵寄席で、あの事件を思い出す。あの事件についてはもう書いてしまってもよさそうだけど・・・う〜ん、やめときますか。そうか、あれからもう七年くらいになるんだなぁ。

5月25日記

静かなお喋り 5月24日

静かなお喋り

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