浅草演芸ホール六月中席夜の部 2015年6月17日 いつもどおり仲入りあとの割引を狙って入場。浅草演芸ホールの夜の部は誰がトリだろうと、仲入りでお客さんがドッと帰り、それ以降もチラホラと退場していく人がいるものだが、今日はほとんど動きがない。どうも柳家喬太郎がトリだかららしい。なんとか空席を見つけて座る。 クイツキは柳家左龍で『短命』。隠居さんから短命の理由を教わって家に帰った八五郎。おかみさんにご飯をよそってもらう。黙って差し出すおかみさんに「犬にだってエサを出すときは『はい、ポチ、お食べなさい』って言うだろ」「はい、ハチ、お食べ」。かなわないね。 柳家小里んは『碁泥』。碁に夢中のふたりに、その家に泥棒に入ったこれまた輪をかけて碁好きの男。こういうのんびりした世界っていいね。でもタバコはダメだよ。 鏡味仙三郎社中の太神楽。仙三郎の土瓶はいつ観ても惚れ惚れするな。 桂文枝の落語を東京に移し替えるということを頻繁に行っている柳家はん治は『妻の旅行』。奥さんが沖縄旅行に出かけているときに息子相手にかあさんのことをぼやく父親。「かあさん、サスペンスドラマが好きでな。山の中の吊橋から人が突き落とされたりすると必ず言うのが『あれ、人形よ』」。うん、いかにも言いそう。 掛布に顔が似てるとよく言われる林家鉄平。無理矢理、高校生にサインしてやると持ち掛けて、いざサインしようとしたら掛布の掛という字が思い出せなかったと笑わせて『代書屋』へ。いいマクラだ。 柳家小菊の粋曲。『ちゃっきり節』『さのさ(歌舞伎役者ヴァージョン)』『気前が良くて』『品川甚句』など。あら、今日は都々逸なしか。 トリの柳家喬太郎は出てきて天候などのあたりさわりのないことを喋り出す。と、「お気づきだとは思いますがね、高座に上がって2分。まだ今日何をやろうか決まっておりません。迷走中です」と言って笑わせていたが、どうやら今日は十八番の『竹の水仙』にしたらしい。旅のマクラから噺に入った。もう長年に渡り何回も喬太郎の『竹の水仙』を聴いているが、聴くたびに進化している。もう鉄板のネタになっていて、これで受けないわけはない。 「左甚五郎旅日記 竹の水仙の一席でございました」と深々とお辞儀する喬太郎に、祝儀だかファンレターだかを渡すお客さんがいる。出口に向かうと、お客さんの「最後に出た人、よかったわね〜」「喬太郎っていうのかい? 今日はアタリだった」といった声が聞こえてくる。きっとリピーターになるんだろうなぁ。お客さん、増える訳だよ。 6月18日記 静かなお喋り 6月17日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |