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客席放浪記

満開!若手落語会

2016年3月31日
浅草演芸ホール

 余一会。今日の浅草夜の部は落語協会の若手をズラリと揃えた番組を組んだ。といってもほとんどが40代から50代。落語界ではそれでも若手と言われる。
 場内は満員の盛況。

 開口一番前座さんは金原亭小駒『道具屋』。前座修業頑張ってね。

 春風亭ぴっかり☆『権助提灯』。本妻とお妾さんの意地の張り合いを女性がやると底意地が悪くて怖いねぇ〜。ぴっかり☆は声がはっきりしていてわかりやすい。気持ちいい声だ。

 春風亭一之輔が、無口の整体の先生から、あなたは何か大きな声を出す職業ですかと訊かれて落語家だと答えたら、テキヤのバナナの叩き売りかと思ったと言われたというマクラが可笑しい。そこから『人形買い』

 柳家三三『元犬』の人間になった犬は、いかにも犬らしさが残っていて可笑しい。帯を巻くのにも、下駄を履くのにもグルグル回って、歯をむき出して、銜えて、必ずお手をする。アハハハハ。通常のサゲのあとにもうひとつサゲがあるのも面白い。母犬のことを盛んに仕込んだ台詞は、このためだったんだ。

 三増紋之助の曲独楽。寄席では滅多にやらない、投げ独楽要留めを見せてくれた。

 桃月庵白酒『粗忽長屋』。「江戸っ子のフラメンコだってよ。粋だオーレ」に始まってスピードのある持っていき方が、観客に考える暇を与えない展開でいいなぁ。こういうわけわかんない噺は力で押し切った方がいい。最後に行き倒れの死体が熊に知らせに行った男にすり替わるのも、もうなんでもありっぽくて、この噺らしい展開。この噺、あまり好きじゃなかったのだけど白酒のものは可笑しい。

 仲入り後、林家彦いち『二月下旬』。私は二日続けてこの噺を聴いたことになる。

 前が長くやったので入舟亭扇辰の持ち時間が減ってしまった。それでも、ある地方の落語会に行ったときのギャラの話で笑いを取り、短めの噺『お血脈』。しかもそこで石川五右衛門が歌を歌うところを盛り込む。『東京ホテトル音頭』で大受け。

 林家二楽の紙切りのお題は、風鈴屋、入学式、東京ホテトル音頭。普段の寄席では話さないようなことを話しながらの紙切り。ほとんどがバレ話で、とても書けない。でも面白い話を聞いてしまったというお得感のある高座だった。

 トリの柳家喬太郎は日清ソース焼きそばのことを実に楽しそうに語るマクラから、『ハンバーグができるまで』へ。

 「楽屋がね、みんな笑っているんですよ」と喬太郎が言っていた。同期の仲間たちと本当に楽しい落語会ができてうれしかったらしい。この企画、恒例化するといいな。

4月1日記

静かなお喋り 3月31日

静かなお喋り

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