浅草演芸ホール五月中席夜の部 2016年5月19日 開口一番、前座さんは三遊亭あんぱんで『子ほめ』。笑遊のお弟子さんだそうだ。型破りな落語をやる。これからどうなるのか予想がつかない。楽しみにしてるよ。前座修業頑張ってね。 春風亭昇也は、師匠昇太の芸風にかなり近い落語をやる人。今日は『寄合酒』だ。「オレは飲みたいんだけど、懐はノーマネー」。 ギタレレ漫談のぴろき。「健康診断で、塩分、糖分、脂肪分を控えるように言われました。煙草は一日10本。この煙草がキツいんです。今まで煙草吸っていませんでしたから」 春風亭昇吉の代演は雷門音助で『たぬ札』。よく通る、いい声。聴きやすい人だね。 春風亭柳太郎の噺は、三年くらい前に一度聴いたことがある。あのときは演題を知らなかったが、これ『鞄の中』、あるいは『鞄の中身』というんだね。 Wモアモアの漫才。熊本地震、舛添東京都知事など時事ネタを並べ、あとはいつもの立ち話。「覚醒剤、寄席芸人が捕まったなんて聞いたことないでしょ? 金持ってないもの」 瀧川鯉朝は『反対俥』。お得意の座布団の上の回転ジャンプで笑いを取る。「私のやってるのはパフォーマンス。本当の落語はこのあとから」。 三遊亭遊吉の代演で三遊亭圓丸で『町内の若い衆』。ダイエット川柳「部分痩せ 痩せたい部分が 大部分」。うまい! 桧山うめ吉の粋曲。『梅は咲いたか』、『品川甚句』。新内から『蘭蝶』。これは柳家紫文の長谷川平蔵のテーマね。小唄『お清、しゃもじは何処にある』は、三下がり→本調子→二上がりと変調していく面白い曲。立ち上がって踊りは『潮来出島』。 「いろんな落語家がいます。きれいな落語家、汚い落語家。なかには臭い落語家もいます。お客さんも臭かったりする。そういうのをたいしゅう芸能」。昔々亭桃太郎は『カラオケ病院』。桃太郎は最近このネタに当たることが多い。 仲入り後のクイツキは春風亭昇々で『鈴ヶ森』。一之輔のものとよく似ていて、かなりぶっ飛んでいる。一之輔に貰ったのかな? 三遊亭遊雀の『真田小僧』、一銭貰って話し出した子供、すぐに「一銭はここまで。この先を聞きたければ、あと二銭」「それじゃ、おじさんが来たってだけだろ!」 春風亭柳好の代演は春風亭柳之助で『荒茶』。「茶席ではやってはいけない作法があります。それは人の行為を笑うこと。同じ席がついても寄席の場合は、可笑しくなくても笑うというのが作法です」。なるほど。 ザ・ニュースペーパーの政治コントは、菅官房長官とオバマ大統領。 春風亭柳橋の代演が立川談幸。おおっ、『大師の杵』だ。地噺だからいろいろ入れ込みが楽しい。「私は立川談志の内弟子を二年半やりました。内弟子は家の雑用をなんでもこなさなくてはなりません。時には食事の支度もしました。・・・その効果が4、5年前にようやく現れまして・・・」 鏡味正次郎の太神楽は、いつも通りの安定感。失敗する気がしないもんなあ。 トリの春風亭昇太は、20分以上使ってマクラで『笑点』の話題。なにしろ今週の放送で歌丸が司会を降りる。みんなの関心は、誰が次の司会になるか。どうやらもう決定しているのだろうけど、昇太はうまくはぐらかしながら、それを笑いのネタにしていく。「いいですか、歌丸師匠は落語をやめるわけじゃないんです。『笑点』の司会をやめるだけなんです。それがみんなもう落語を止めちゃうんじゃないかって、歌丸師匠の出る落語会は今、どこも売り切れ。末廣亭でトリを取ったときは大入り満員。もう落語やめちゃう、あるいは死んじゃうんじゃないかと思って人が集まる。みんな『しめしめ』と思ってますよ。これをしめしめ詐欺って言います」。どかんどかんと受けている。やはり『笑点』のことを話すと強い。もう終演時間が迫っているぞというところで短い『リストラの宴』をやって締めた。それでも終演時間を5分くらいオーバーしたかな? お客さんもきっと満足したろう。 5月20日記 静かなお喋り 5月19日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |