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客席放浪記

第九回奮闘馬石の会

2013年1月25日
池袋演芸場

 開口一番前座さんは、三遊亭ございます『たらちね』。最近の前座さんは達者な人が増えてきたなぁという気がするが、この人もそんなひとり。人物の演じ方にちゃんと個性が感じられるもの。前座修行頑張ってね。

 文化庁の芸術祭新人賞を受賞した隅田川馬石。今日は『おせつ徳三郎』だが、噺に出てくる向島の長命寺に寄ってからここへ来たということから話し始める。
 仲入り後にこの噺をやる前の一席ということで、なかなか寄席ではかけにくいが、笑える楽しい噺をということで『粗忽の使者』
 マクラで浅草界隈で自転車に乗った高見盛をよく見かけるといったことから、相撲中継の舞の海の解説の話になる。アナウンサーから高見盛のオーバーなアクションに関して、あれはパフォーマンスなんじゃないかという声があると振られて、舞の海は、あれは決してパフォーマンスではないと話し始めたのだが、つい、「相撲という神事のある種のパフォーマンス」と口走ってしまったというエピソード。
 それが噺に入ると、地武太治部右衛門、別当に「豚を引いてまいれ・・・いや、豚ではごさらん、牛じゃ、牛を引いてまいれ・・・いや牛ではなく馬じゃ・・・いや馬ではない・・・いや馬でいいのじゃ」って口にしちゃう。まるで舞の海みたい。

 仲入り後はネタ出しのあった『おせつ徳三郎』。『花見小僧』から『刀屋』まで一気に。楽しい『花見小僧』で笑わせ、ぐっと緊張感のある『刀屋』。
 この噺『花見小僧』だけなら寄席でかけても楽しいが、『刀屋』だけとなると前段が無いので、暗いし、やや苦しい雰囲気になってしまう。通してやると、ようやくトリのネタとしていい感じになる。でもそうすると今度は尺が少し長くなる。
 サゲは志ん朝のやっていた地口オチではなく、先代馬生がやっていた「徳や、お前もおあかり」。馬石がやると、ここのところ、おせつさんが本当にカワイイ。うふっとしてしまうが、実際こんなことを言うお嬢さんと逃げても、そんな世間知らずなお嬢さんとはやっていかれないだろうなぁ。もっとも、おせつさんが冗談で言ったとしたら、こんなに楽しい女性もないんだけど。
 まあ、どちらにしても緊張がほぐれる、楽しいサゲなんだけど。

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