桂米朝一門会 2017年9月24日 国立演芸場 今でこそ東京にいても上方落語は年中聴けるが、昔は滅多に聴く機会がなかった。そんななかでも年に一度だったと思うが、[鈴本演芸場]で行われる『桂米朝一門会』と『桂枝雀独演会』は楽しみだった。 その枝雀もすでにこの世になく、米朝も亡くなった。しかし後継者はどんどん増えた。 開口一番は桂小鯛で『時うどん』。こうやって聴いてみると、東京の『時そば』と違って、最初に食べるのがふたりだと、前半から笑いが取れる。それと一文誤魔化したという説明がしやすい。昇太の『時そば』が『時うどん』をベースに持ってきたわけもわかる気がする。 「今朝、新幹線使って玄関からここまで4時間。往復で8時間。それで私のこれからの持ち時間15分ですわ」。桂歌之助は『佐々木裁き』。 米朝の息子に生まれ、二十歳のときに煽てられて落語家になって苦労したと笑いながら話す桂米團治。というわけで親子の噺『親子茶屋』。この噺を聴くのは初めて。『百年目』とちょっと似ている。ただ『百年目』のような説教臭さがなく、あくまで放蕩者の若旦那と父親というのが落語らしくていい。 テレビドラマにも出て、すっかり顔も知られた桂吉弥。歌舞伎役者の中村勘太郎(現・官九郎)とのお付き合いのエピソードから『狐芝居』。これも東京では聴かない噺。マクラで「松竹座16,000円ですよ。そこへいくと今日の入場料は・・・」。これは上方ではお決まりで入れることになっているのかも。 「うちの嫁はん、元小学校の先生だったから、いつも上から目線」と夫婦仲のエピソードをあげてから、桂南光は『火焔太鼓』。東京のものだと道具屋は武家屋敷に太鼓を売りに行くが、こちらは豪商の家に持って行く。なるほど商人の街の落語だよな。 9月25日記 静かなお喋り 9月24日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |