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客席放浪記

第五十一回新文芸坐落語会 江戸っ子落語&トークショー付き映画

2013年11月14日
新文芸坐

 今日は東京生まれの落語家が三人という顔づけ。

 鈴々舎風車は、来年春の真打昇進が決まったそうだ。「真打になりますと何が変わるかと申しますと・・・ギャラが上がります。今ですよー、私を使うなら」。ネタは『看板のピン』

 古今亭菊之丞『二番煎じ』。火の用心の見回りの旦那衆の中に俳句好きがいるのだが、酔うにつれ作る俳句がメチャクチャになる。「猪鍋を 食べて面白くもあり ししししし」って、もう五七五にもなってないー。

 紫綬褒章を貰った柳家権太楼。その顛末を語るマクラが可笑しいのなんの。しばらく内密にしてくれと宮内庁から言われた事から家族内でのドタバタとか、北方謙三から渡された名刺をなぜか棟方志功と読み間違えていたとかいう話は、もうこの人ならではの語り口。
 ネタに入っても、その『猫の災難』の可笑しさったらない。やっぱり滑稽噺をやらせたら、この人に敵う人はそんなにいないね。

 仲入り後は、このあと上映する映画の監督さん安原眞琴と、作家の村松友視のトークショー。ほとんど村松友視の独演会状態。この人は本当にトークが上手い。この日上映された映画は、90歳で亡くなった吉原の芸者みな子姐さんのドキュメンタリーだが、“芸者さん”“年を取るという事”をテーマに縦横に語り続ける。
 落語との関連だと、花柳界の遊びなどがセミナーの形で紹介されるのはいいが、実はそれでは本質的なものは伝わらないのではないか。落語もホール落語というものが出てきてイベント化してしまった。寄席というものがあっての落語だという意見。
 また、円生に会った時に聞いた事として「落語の難しさは何でしょうね」との質問に「男が化粧をしないで女になるからですよ」と言われたという話。「照れずにやれということですか?」と返すと、「照れずにやっても照れてやっても、(若いうちは)見られたものじゃない。あとは年を取ることだね」と言われたという。うーん。

 いくらでもトークは続きそうだったが、時間切れでドキュメンタリー映画『最後の吉原芸者 四代目みな子姐さん 吉原最後の証言記録』が上映された。新橋、柳橋、芳町などi芸者さんがいたわけだが、吉原にも芸者さんはいた。身体を売るのではなく、芸を売っていた女性が吉原にもいたのである。その四代目みな子姐さんが語る吉原の話と、芸と遊びの記録。一時間ほどの作品だが、吉原の仕組みや、吉原の歌や踊りで理解できないでいたことの一部が、いろいろわかって面白かった。
 吉原締めという手締めのやり方も初めて知った。面白いなぁ。

 それにしても、落語とトークショーと映画の上映が一度に出来てしまう空間というのは羨ましい限りだ。

11月15日記

静かなお喋り 11月14日

静かなお喋り

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