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2012年5月16日第三十三回文芸坐落語会・演芸アラカルト

 「いろんなところで落語を演らせていただきますが、こんなに目の前が断崖絶壁なところは初めて」と古今亭菊志ん。文芸坐のスクリーンの前に作られた高座は舞台の前ギリギリに作られていて、演者が下を見ると怖いらしい。池袋演芸場などの話題をマクラにして『金明竹』

 久しぶりに神田山陽を観た。
 話したい事がたくさんあるらしくて、この人はそういうときは講談そっちのけでマクラが長くなるのは相変わらず。
 文芸坐ル・ピリエでの新作ネタ下ろし落語会の思い出や、無声映画の弁士をやった経験から、話題の無声映画『アーティスト』のこと。・・・もっともまだ観てないとのことだけど。うははははは。それでも内容を想像する楽しみはあるという話。
 無声映画の大スター坂東妻三郎から、その『無法松の一生』、そして昨夜テレビで放映していた『馬鹿まるだし』が『無法松の一生』をベースにしていて、それが素晴らしかったという話題まで、話したいだけの事を話しまくる。これがこの人の楽しいところ。
 と、突然『鼠小僧外伝・鼠小僧とサンタクロース』が始まる。どうやら、今日のお客さん、山陽を観るのは初めてな人が多いらしく、江戸にサンタクロースが登場したら爆笑が起こる。そのあとも、受ける受ける、受けまくっている。もうあまり、この名作を知らない新しい演芸ファンが生まれてきたということか。もっとも時間が押して後半はカット。惜しいなあ、是非聞いた事がない人たちに最後まで聴かせて欲しかった。

 仲入り後、松元ヒロ。チラシにパントマイムとなっていたからと、「壁」をちょっと演ってみせてから、この人の本領、漫談に入る。
 ザ・ニュースペーパー出身の人だから、政治ネタはお得意。石原慎太郎ネタをちょっと演って、その繋がりから立川談志ネタ。
 談志との思い出を、笑いと毒で語り、最後はその流れから、自然に立川談志とチャップリンと『雨に唄えば』を組み合わせたパントマイムに入り、余韻を漂わせて締める。凄い構成力の妙。まさに圧巻のステージだった。

 トリは国本武春。三味線を持ってひとりで出て来る。曲師がいないので。これは浪曲ではないな。
 お馴染みの浪曲掛け声講座から、弾き語り『殿中人情』。いつも思うのだが、この人の弾き語りはロックでありブルース。ご本人はラストのところはバラードとのことだが、これはブルースでしょ。三味線デブルースを弾いてしまう人は、この人しかいないかも知れない。

5月17日記

静かなお喋り 5月16日

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