2012年3月20日文化放送開局60周年記念落語会・昼の部・立川志の輔独演会(よみうりホール) 開口一番、前座さんは立川志の太郎で『つる』。頑張ってね。 立川志の輔一席目は、文化放送で平成2年から6年間午前9時からの2時間、パーソナリティーをやっていた経験の話から。テレビは「見せている」が、ラジオは「聴いてもらっている」の違いがあることなど。私も毎朝仕事をしながら、この番組を聴いていた。そこから興味を持って志の輔の落語会に足を運ぶようになったのだが、あのころは志の輔のチケットを取るのは難しくなくて、いつでも問題なく観に行かれたものだった。それが今や、チケットが取りにくい落語家のひとりになってしまっている。 落語は日本語だからこそ生まれた芸能で、英語では出来ないといった話から、四字熟語「臨機応変」と、「行き当たりばったり」の違いから『猿後家』へ入る。志の輔の『猿後家』に出てくる人物は、臨機応変ができず行き当たりばったりのような印象を受ける。でもそれが落語。臨機応変な人物ばかりだったら落語にならない。 仲入り後は、ダメじゃん小出のジャグリング。舞台下手にいろいろと道具を並べて置いていたけれど、使わなかったものがほとんどだったんじゃない?(笑) 皿回しをしながらの三本のバトンのジャグリングが面白い。 立川志の輔の二席目は『新・八五郎出世』。もう一席を何にするのかと思っていたのだが、記念落語会ということもあって、おめでたい噺。古典を自分の側に引き込んだ志の輔らしさがよく出ている噺だ。笑わせて、聴かせて、ホロリとさせて締める。千人以上の観客を満足させ 、いい気持ちにさせて帰す。志の輔は何回もの経験から、その規模の落語会のコツを身につけてきたように思えてくる。テレビはテレビの、ラジオはラジオの、そして落語会は落語会での、どうやったらお客さんを満足させられるかを知っているかのようだ。 3月21日記 静かなお喋り 3月20日 このコーナーの表紙に戻る |