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客席放浪記

ブス会*
お母さんが一緒


2015年11月19日
ザ・スズナリ

 旅館の一室。一応、露天風呂付きの部屋なのだが、その露天風呂も外から囲われて眺めもよくなさそう。部屋の作りも設備もイマイチで中途半端な感じ。そこに入ってきたのは長女の弥生(岩本えり)と三女の清美(望月綾乃)。この旅館を予約したのは次女の愛美(内田慈)らしく、そのことに文句を言っている。どうも口やかましい性格らしい。そこへ愛美が入ってくる。愛美は別の部屋で母親と相部屋。この母親は劇の間、一度も登場しない。
 長女弥生は、そろそろ40になろうという年齢。美人に生まれなかったというコンプレックスを持つ彼女は母親に従って勉強に打ち込み、いい会社に就職するものの婚期を逸してしまっている感じ。母親から結婚して孫の顔を見せてくれと言われることにいら立っている。
 次女愛美は東京で奔放に生きているが、次々と仕事も男も変えて、いまだに落ち着かない人生を過ごしている35歳。
 三女清美は29歳で母親と同居。
 三姉妹は母親の誕生日を記念して、母親を連れて家族旅行に来たというわけだ。
 三女清美は、この家族旅行にサプライズを考えていた。秘かに付き合っていた婚約者のタカヒロ(加藤貴宏)をみんなに紹介しようという計画。それをタカヒロが三人の前に突然やってきてしまったから騒動が持ち上がる。
 母親との食事が終わってからタカヒロを母親に紹介して喜ばすはずが、食事中に弥生と母親が喧嘩をはじめ、せっかくの誕生日もメチャクチャ。清美の婚約者を紹介する雰囲気ではなくなってしまう。
 そしてそのあと三姉妹は、お互いを罵り合い、否定し合い、泥沼の姉妹喧嘩に発展してしまう。

 女同士の諍いの世界を描き続けてきたブス会*。今までは他人同士の女のぶつかり合いだったが、今度は肉親。姉妹同士、母親と娘の諍いの世界だ。
 世の中、友達母娘といった関係の人も見かけるが、偏見かもしれないが、どうも私が知る限り、母親と娘がうまくいっている家庭というのは少ないような気がしてならない。娘は母親の存在を疎ましく思いながら、それでも肉親として断絶できない。そんな様子を見てしまったり、感じ取ってしまったりということがよくある。

 母親と娘、姉妹同士。どちらにしてもブス会*の描く女だけの諍いの世界。ブス会*の芝居を観る面白さというのは、男である私が関わりのない世界だというのがある。女だけが争っていることを安全地帯から高みの見物をしていられる。ただ、この高みの見物、こういう状況にいる自分って嫌な見方をしているなという居心地の悪さがないではない。笑ってはいけないと思いながらも笑ってしまう女同士のイザコザ。ブス会*の芝居は、ほかの芝居とは違う面白さがある。

 そして今回は男が登場する。三女の婚約者。この男が実に能天気な男でマイペース。三姉妹の修羅場のなかにいても、たいして気にも留めていない様子。おいおい、大丈夫かよ。三女と結婚したとして、そのうしろには、こんなうるさい小姑みたいなのが二人もいるんだぜ。しかも下手すると、これまたうるさそうな義母と同居という可能性まである。私なら逃げ出すけどな〜。

 ブス会*が枝分かれしたポツドールだと、話は破滅に向かっていくが、ブス会*だと、また何事もなかったかのような最後を迎える。なにがあっても、たとえ何を思っていようと、表面上は落ち着きを取り戻す。これが女性の生き方ってものなんだろうか? 女ってわからない。

 それにしても幕切れは男で締めくくる。なんとものほほんとしたラスト。ねえ君、ほんとに大丈夫なのかい? こんな女性たちをこれからの人生相手にしていって。まあ、それくらい大きな心を持ち、気楽にやってないと女を相手にやっていかれないんだろうけどね。

11月20日

静かなお喋り 11月19日

静かなお喋り

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