劇団チョコケートケーキ 『熱狂』 『あの記憶の記録』 2017年12月17日 シアターウエスト 劇団チョレートケーキが、再演の舞台を二本同時に公演するというので、一日でマチネの『熱狂』と、ソアレの『あの記憶の記録』を二本立てで観た。 『熱狂』は、1924年アドルフ・ヒトラーのミュンヘン一機裁判から、1933年のヒトラー首相就任までのナチスの内部の動きを追ったドラマ。しかし私にはあまりピンと来なかったというのが本音だろうか。 ところが、もう一本の『あの記憶の記録』の方はグイグイと引き込まれてしまった。 イスラエルに住む、あるユダヤ人の四人の家族。息子と娘は学校でアウシュビッツについて学び、ユダヤの国家を脅かす者があったら戦うと言う。それを聞いた父親は怒りだす。戦争に行ってはいけない。戦争になったら自分が生きることだけ考えろと言いだす。 父親は実は兄と一緒にアウシユビッツから生きて帰って来た男だった。なぜアウシュビッツにいたのか、そうしてどうして生きて帰ってこられたのか、そのことを、それまで絶対に話そうとしなかった父親は、息子たちの教師でアウシュビッツで起こったことを記録にしようとしている女性も交えて、戦後25年を経て、少しずつ話し出す。 それは息を飲むような、あまりにもショッキングな話。自分が生き残るために、アウシュビッツでナチスで同じユダヤ人をガス室に送る手伝いをさせられたという話。そして開放されたときには、今度はナチスを自分で殺したということ。なんであれ、敵も味方も含めてたくさんの人を殺したという過去を話したくなかったのだ。 最後にSSの将校が言う言葉。「世界は憎しみに満ちている。そしてそれは私が死んでも無くならないだろう」は重い。人間は憎しみ合う。そしてそれが戦争にまで発展してしまうことがある。同胞を殺された者は、さらにまた憎しみを抱き、相手を殺す。どこまで行っても憎しみは消えない。 世界中から戦争を無くすにはどうしたらいいのか。私にはわからない。しかし、自分だけでも人に憎しみを抱くのはやめよう。憎しみは決していいことには繋がらない。 12月18日記 静かなお喋り 12月17日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |