橘也改〆三遊亭朝橘真打昇進披露興行 2017年6月29日 日本橋劇場 ゲストに、立川流からは今最も独演会のチケットが取りにくい志の輔、落語協会からは落語ファンに一番人気のある喬太郎、落語芸術協会からはまだ二ツ目なれど実力抜群の小痴楽を迎えた、円楽党の新真打の披露興行。このゲストの顔付けだけで観に行くことを決めた落語好きも多いらしく毎員。客席には私の知り合いの顔があちらこちらに見える。かくいう私も、普段は円楽党の落語家はほとんど知らないというのに、ゲストに惹かれて観に来た者のひとり。 開口一番、前座さんは三遊亭まん坊で『味噌豆』。前座修業頑張ってね。 まん坊の師匠にあたる三遊亭萬橘。このあと出番を待つ大物も控えているということからか『からぬけ』でサッと高座を下りた。 圓橘門下の総領弟子、三遊亭小圓朝。この人初めて聴く。夫婦の年月を経ての機微を描く漫談調の噺『未練の夫婦』。妻に主導権を握られた夫だが、それを楽しんでいるようなところも感じられ、ほのぼのとした気持ちにさせられた。 立川志の輔は『親の顔』。志の輔の新作落語のなかでも鉄板の噺。いままでにも何回も聴いてはいるが飽きない。立川流のロジックをほどよく使って構築した噺でもあるし、立川流のよさがうまい具合に形になっていると思う。 仲トリは朝橘の師匠、三遊亭圓橘。私はこの人の噺も聴いたことが無かった。相撲取りのマクラから『稲川』。さすがしっかりした噺をする人だ。 仲入りのあと口上。萬橘の司会はややグズグズに近いけれど、心配していたよりしっかりした司会ぶり。兄弟子小圓朝と師匠圓橘がボケてみせ、ゲストの志の輔と喬太郎が皮肉をチラつかせながらも激励する。落語界の口上はいつも楽しい。 おそらくまだ二ツ目だということで、口上の席には上がらなかった柳亭小痴楽。『一目上がり』。いつもながらこの人は「上手い」としか言いようがない。きっと天性のものを持っているんだろうな。 柳家喬太郎は『同棲したい』。声が掠れている。だいぶ喉を酷使しているのではないだろうか。煙草を控えて喉を休めて欲しい。いつまでも喬太郎を聴いていたいし、今の落語界の財産とでもいう人なのだから。 本日の主役、三遊亭朝橘は『お化け長屋』。なかなか明るくて笑いのツボを押さえた、いい落語をする人に思えた。この調子で精進して行ってもらえたら、きっと彼も落語界の大きな財産になるに陳゛いない。 6月30日記 静かなお喋り 6月29日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |