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客席放浪記

忠臣蔵でござる

2014年12月14日
イイノホール

 12月14日は吉良邸討ち入りの日ということで、この催しだが、これももう今年で五回目なんだそうだ。柳亭市馬と春風亭昇太が出るという事だけは知らされているが、あとの出演者はシークレット。

 前座もなく、いきなり春風亭昇太。NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』に出演した昇太。そのときのエピソードをマクラで語っていたが、なんと来年の『花燃ゆ』にも出演したそうだ。眼鏡を外しての出演だから、誰だかわかりにくいらしい。『花燃ゆ』は吉田松陰の妹の話ということで、私もちょっと興味がある。来年は観てみようかな。そんな仕事のマクラから無職の男の出てくる『鷺とり』へ。「今、どんな仕事をしてるんだ?」と言われて「な〜んにもしてません。サッパリしてるでしょ」。私と同じだね。いかにも昇太流解釈の『鷺とり』だったが、妙にかわいい噺に仕上がっていた。昇太らしいな。

 メクリがかえると、桃月庵白酒の文字。ちょっとしたどよめきが沸く。シークレットゲストと銘打たれていても肩透かしのことが多いけれど、これは豪華。例によって出演者のことやスポーツ選手のことをおちょくりまくるマクラ。今日の主役である市馬のことだってチクチクとやってる(笑)。そして入ったのは昔から得意にしている『四段目』。忠臣蔵がテーマの会だけに、これはズバリ。定吉のかわいさったらないね。

 柳亭市馬は、そんな白酒を褒め殺してみせる。「ああいうポッチャリした愛嬌のある人が毒を吐く。そのギャップが面白いんですな。かと思うと昇太みたいなベテランが、いまだにあのような・・・。そのギャップが面白いわけで」。褒めてるんだかどうなんだか(笑)。市馬が白酒を持ち上げたのは、これから入るネタとも関係していたのか。『淀五郎』は歌舞伎役者が主人公で四段目が出てくる噺。どちらにも同じ場面が出てくる。その対比を狙ったもので、これは事前に打ち合わせがあったのだろう。そういえば『四段目』も『淀五郎』もサゲが同じなんだなぁ。

 仲入り後はミニ鹿芝居。といっても舞台に上がったものが次々と歌を歌ってみせるという、芝居なんだか、のど自慢なんだかよくわかんない趣向。林家木久蔵林家彦いちの珍妙なやり取りのあと、客席後方から春風亭昇太が『唐獅子牡丹』を歌いながら登場って、何なんでしょうかね(笑)? 殴り込み=討ち入りってことですか? そうかと思うと桃月庵白酒が派手なコスチュームにカツラ姿で登場。これが宝塚『ベルサイユのばら』のオスカルなんだそうな。それもわざとキツキツのを着せられて(笑)。わけわかんないと思ったら歌うのが『ベルサイユのきら』(笑)。柳亭こみちは『ありのままの』ならぬ『きらのままの』を演歌調で。そうかと思うと柳家喬太郎が、もう『忠臣蔵』ともなんとも関係ない、『芝浜』を三番の歌詞までにコンパクトなまとめた『ブルーライト・シバハマ』。この人たち、人前で歌を歌いたいだけ(笑)。

 林家二楽の紙切り。鋏試しはいつもの『桃太郎』だが、桃太郎が内蔵助にきびだんごあげてる。

 トリは当然のことながら、柳亭市馬が『俵星玄蕃』を熱唱してお開き。年に一度のお祭り騒ぎ。さぞや吉良も大石もあの世でびっくりしていることでございましょう。

12月15日記

静かなお喋り 12月14日

静かなお喋り

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