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客席放浪記

2012年5月6日COW COW Live 2012(北沢タウンホール)

 COW COWは、テレビのお笑い番組で私の好きなコンビの一つ。コンビとしても面白いが、案外お互い、ピンでやるときが面白かったりする。特に山田のフリップを使ったネタは大好きだ。

 オープニングは、女子高生の多田と、男子高生の山田という設定のコント。部活選びをめぐる、まあ、たわいないネタだが、二つあるいは三つの部活を複合させたらという発想がユニーク。

 アイアン・メイデンならぬ、アイアン・メイシンなる、ヘビメタ・バンドの格好をしたふたり。ヘビメタのシャウトで歌うのは、風が吹けば桶屋が儲かる式の、連鎖の歌詞。10の迷信連鎖を歌にした歌詞は、スクリーンに絵も映して笑わせる。絵がまた味があるんだよなあ。

 このコンビ、言葉や文字を遊びにして笑わせるのが上手い。幕間の繋ぎに上映されるビデオも、『もじどうぶつ』といって、ひらがなで書いた動物の名前をその動物の絵に変えてしまったりする。あるいは人名の名字をカタカナで書いて人間の顔を作りだす。こういうウイットに富んだ遊びがこのコンビの持ち味なのかも知れない。

 トルネードそっくりショウ。漫画キャラクターのそっくりさんを指摘するコーナー。あるある。

 お化けの「いうけど」。よく口にしてしまう「いうけど」な言葉を、お化けが突っ込む。ラストにちゃんとオチが付いていた。

 クイズ・フリップで答えましょう。このコーナーはいったい何なんだろうと観ていると、次の、

 桃太郎の紙芝居で、それらフリップで答えた回答が全て桃太郎のストーリーの紙芝居の絵になっているという凝った構成。「あっ!」と言わせてたかったんだろうけど、まんまとCOW COWの術中にハマってしまった。

 漫才。私はどうもこの人たちの漫才は苦手な方。私の嫌いなドツキ漫才でないのは助かるけど。仲のいいのはわかるのだが、フリップを使ったネタなどに比べると、インパクトは薄い気がするのだが。

 休憩後、多田が今年『R−1ぐらんぷり』に輝いた、五十音ボックスのネタ。歌の一発ギャグをズラーッと並べるだけのような気がして、私はあまり好きになれなかったが、こうやって改めて聴いてみると、けっこういいのがあったりする。玉石混交だったんだね。

 続いては、山田のフリップ・ネタ『ウイリアム・テル』。私は山田の凝りに凝った、こういうフリップ・ネタが好きだなあ。絵も上手いし、どんどんアイデアがエスカレートしていくのも好き。

 再び多田の、やはり『R−1ぐらんぷり』のネタから、お題ボックス。こちらの方が、一発ギャグの本道っぽい。こちらも玉石混交なのだが、これだけ並べられると、「参りました」と言うほかないでしょ。

 トルネードそっくりショウ第二部。今度は似た漢字特集。四と匹。白と臼。風と瓜。斉藤と斎藤。斉藤と齊藤。荻原と萩原。このあたりまでだと、あるあるネタになってしまうのだが、さすがにフリップ芸のCOW COW、ここから突然に飛躍がある。そのあたりが、やはり凡人ではない。これ以上はネタバレになるから書けないが。

 彼らの最近のヒット、あたりまえ体操のコーナー。観客も立ち上がって一緒に体操をする。というかもう、踊りだね。これも散々観客にやらせておいてオチが付く。

 エンディングの漫才。

 これで終わりと思ったら、突然にまた紙芝居『桃太郎』が始まる。これはこの二時間のライヴの中、アチコチで使ったフリップが『桃太郎』の紙芝居として回収されていくという、まさに「あっ!」と言う鮮やかな幕切れ。

 すげえな、こいつら。

5月7日記

静かな生活 5月6日

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