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客席放浪記

太福三席

2016年9月16日
日本浪曲協会広間

 奇数月の第三金曜に行われている『太福三席』。5月、7月と観にきて、今日で三回目。太福の浪曲を初めて聴いたのが今年の2月に行われた駒込の地域寄席。それ以来、GWには十日間連続読みに通ったりもして、『太福三席』に辿り着いた。

 思えば駒込で玉川太福を最初に聴いたのが『銭湯激戦区』。あのときは、さわりだけだった。太福を追いかけたはじめた理由のひとつは、この続きをどうしても聴きたいという一心だったということもある。それが今日の一席目は、その『銭湯激戦区』だった。七ヶ月待ってようやく巡り合った。
 太福が以前住んでいた荒川区の家からは徒歩十分以内に十軒の銭湯があるという激戦区。その中から、駒込で聴いたのは、湯船の温度が46度もあるという熱湯風呂の銭湯のくだりだった。フルバージョンは、それにプラスして、激ぬる銭湯。それに電気風呂のある銭湯での噺。
 私の家の近所には、すでに銭湯は一軒しか残っていないが、そこの湯は熱い。だから湯船の回転率がいい。長い間入っていられないから、すぐに出て行って、身体を洗う所には人がたくさんいる。となると、ぬるい銭湯の湯船はさぞかし人でいっぱいだろうなぁ。太福はぬるい湯に入ると、やる気が削がれて「現状維持」と言う言葉が頭に浮かぶそうだが、わかる気がする。うちの近所の熱い湯に浸かってくると、なんだかやたら元気が出てくるし。
 『銭湯激戦区』には、電気風呂で皮膚病を治す人が出てくる。興味があるけれど、電気風呂はやはり嫌だな。

 二席目は、先月、太福が神田松之丞たちと仕事で行った佐渡島でのエピソードを浪曲にして語る『佐渡に行ってきました物語』。というか、これ、松之丞の物語。待ち合わせの新幹線になかなかやってこない松之丞。降りる駅を勘違いしていてバダバタの松之丞。佐渡島での公演中に起きた、松之丞床屋事件。それが面白おかしく浪曲にしてある。ふたりは仲がいいんだね。

 三席目は、その『佐渡に行ってきました物語・小噺集』。佐渡島公演中に起きた三つのエピソード。一つ目は「民族博物館に展示されていたご神体とは?」。二つ目が「たらい船体験」。そして三つ目が「楽屋に訪ねてきた音楽家とは?」。三つ目のエピソードでオチが付いて大喝采で、今回の三席は終わった。

9月17日記

静かなお喋り 9月16日

静かなお喋り

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