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客席放浪記

浪曲男はつらいよを聴く会

2016年11月5日
木馬亭

 木馬亭には何回か来たことがあるが、ここは浪曲のホームグラウンド。ここで浪曲を聴くのは初めての経験になる。やはりほかの小屋で聴くのとは違う独特な雰囲気がある。

 開口一番は、富士実子『秋田蕗』。まだ入門して3年目。いい声をしている。これからが楽しみ。

 浪曲『男はつらいよ』は、今から40年ほど前に大西信行が浪曲にして、昨年亡くなった玉川桃太郎の持ちネタだったもの。それを様々な経緯を経て玉川太福が今回受け継ぐ形になった。
 映画版第1作をふたつに分けて、『寅さん故郷に帰る』では、妹さくらの結婚話と、それにまつわる騒動。『恋する寅さん』では御前様の娘冬子への片思い。
 聴いてみると、この『男はつらいよ』という題材は、確かに落語でも講談でもなく浪曲に向いている。
 映画と違い、短くするための省略があったりするが、それを笑いに変えてしまうあたりが太福の上手いところ。
 まだ取り組んでから日が浅いから、これからもっと太福らしいものに変化していく気がする。

 二席の間に、坂本頼光の無声映画活弁。監督伊藤大輔、主演大河内伝次郎の1928年作品『血煙高田馬場』と、もう一本は寅次郎繋がりで喜劇監督斉藤寅次郎1929年作品『モダン怪談100,000,000円』

11月6日記

静かなお喋り 11月5日

静かなお喋り

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