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客席放浪記

第十一回玉川太福・神田松之丞二人会

2017年5月3日
日本橋社会教育会館

 4日前のGW初日、4月29日の『朝練講談会』は、太福、松之丞の組み合わせで、キャパ100人規模の[お江戸日本橋亭]が超満員になったらしい。ところが今日のこの200人規模の会場の会は、まだチケットが売れ残っていたと聞いたが、蓋を開けてみれば、ほぼ客席は埋まっている。太福、松之亟人気は本格的になって来たようだ。

 開口一番前座さんは、田辺いちか『沢庵禅師 虎拝領』。大陸から贈られてきた虎。将軍が柳生但馬に「この虎を怒らせてみよ」と命じ、木刀を持った但馬が虎に撃ちかかる。興奮した虎がいきり立っているところを、今度は「誰か、この虎を静めよ」って、言いたい放題な殿様があったもので、そこに名乗り出たのが沢庵和尚。さて、どうやって虎を静めるものかと興味津々のところで、「お時間」。

 玉川太福『地べたの二人』シリーズ、最新作ができたと言う。私、このシリーズでも、特に『おかず交換』編が一番好きなのだが、今日はなんと『おかず交換しない』編。斎藤が新しい弁当箱を持ってきた。三層構造になっていて、温かい味噌汁も入れられる。その名も、フードコンテナー。ちょっと自慢気な斎藤。一方で金井はと見ると、いつものコンビニ弁当ではない。なんと手作り弁当。母親が作ってくれたんだと言う金井だが、それを信用せず、しつこく誰に作ってもらったんだか聞き出そうとする斎藤。ううっ、気になるこの真相。といったところだが、お時間。

 神田松之丞の一席目は『吉原百人斬り お紺殺し』。これは去年の7月の独演会で一度聴いている。乞食に身をやつした、かつての女を川に突き落として殺すと、その女が化けて出てくる。力の入った怪談噺に、客席は水を打ったように聴き入っていた。

 松之丞の二席目は、この週末から連続読みが始まる『村井長庵』から『久八放逐』。遊び人の若旦那のために、店の金五十両横領に手を貸した番頭。それが裏目に出て、さらに村井長庵の手にかかって、どうにもならなくなってしまう。そこでお時間。うううっ、続きが聴きたければ連続読みに行かなくては。

 太福は、ここで今取り組んでいる清水次郎長伝からの抜き読みとなるところだったが、松之亟が重い噺二席だったということで、先日ネタおろししたという三遊亭円丈の『悲しみは埼玉に向けて』
 この名作、誰か継がないかと思っていたが、太福が継いでくれるとは。浪曲の形で生まれ変わった『悲しみは埼玉に向けて』。いや〜、面白い面白い。GWだもの、やはりトリは笑える楽しい噺で締めてくれなきゃね。

5月4日記

静かなお喋り 4月3日

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