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客席放浪記

第12回もー吉ライブだ浪花節

2017年5月13日
神楽坂・もー吉

 玉川太福を聴くようになってから、それまであまり興味がなかった浪曲が俄然面白くなってきた。
 神楽坂の居酒屋さんで年に一度行われているという浪曲の会。古くから浪曲を聴き続けている人、最近になって聴くようになったという若い人たちで店内は満員。

 もー吉店主の挨拶のあと、太福、奈々福一席ずつ。曲師はどちらも玉川みね子

 玉川太福は、三遊亭円丈・作『悲しみは埼玉に向けて』。最近ネタ下しをしたもので、私も一週間ほど前に一度聴いている。今、集中的にかけて自分のものにしようとしている感じだ。
 一度目に聴いたときは、円丈の落語を上手く再現したなと思ったが、二回目だとより浪曲という形になってきている感じ。曲師もこの噺に慣れてきたらしくて、いい勘所で、いいフレーズが入る。
 (円丈の)台本通りと言うが、南千住の部分は少し変えてあると思うし、ところどころ細かいところで手を入れているようだ。
 北千住は今もどんどん変化している。西口には大きな丸井のビルが建ち、劇場まで入る時代になった。そのあたりを太福版『悲しみは埼玉に向けて』に取り入れて行ってくれたら、うれしいのだが。

 「あたし北千住に住んでいるですよ!」と玉川奈々福。楽屋から土下座に出てくる太福。「知らないわけじゃないでしょ!」。アハハハハ。「それだけじゃありません。私は横浜生まれですが、東武線沿線で育ったんです!」。またもや土下座に現れる太福。ウハハハハハハ。
 ひとしきり、マクラで盛り上がったあとは『寛永三馬術 愛宕山 誉れの梅花』
 やはり浪曲好きのお客さんが多いこともあって、「たっぷり!」、「名調子!」、「日本一!」などの声が飛ぶ。浪曲は落語と違って、高座と客席とのやりとりで盛り上がる。
 曲師もやり慣れている噺なのか、絶妙なフレーズを繰り出してくる。これはやはりジャズだなと感じる。歌手、あるいはソロをとっている相手に、うまく合わせたフレーズを即興で入れて行く。それがうまく相乗効果になって決まった時の楽しさ、興奮。それが浪曲とジャズは似ている。

 終演後の懇親会で、みね子さんからいろいろ話をうかがった。浪曲に関しては、まだまだわからないことが多いが、これから学んでいきたい。

5月16日記

静かなお喋り 5月13日

静かなお喋り

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