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客席放浪記

第48回愛づらか百撰

2016年6月16日
日暮里サニーホール

 立川談幸が、あまり演じ手のいない噺をネタおろしする、愛(め)づらか百撰。百といっても、百席やろうと思って始めた会ではないそうだが、毎回二席ずつネタおろししてきて48回目。あと2回で百席達成ということになる。

 まずは師匠の談幸と一緒に落語芸術協会に入って、現在前座修業中の立川幸之進『寄合酒』。落語を楽しそうに演るところは師匠ゆずり。この人、アンジャッシュの児島に似ているのに気が付いた。

 立川談幸一席目は『薙刀傷(なぎなたきず)』。先代桂文楽の速記が残っているらしい。前半は恋煩いをした若旦那の噺で、『崇徳院』を思わせる。武家の娘と結婚することになるのだが、そこに泥棒が入るという、なんとも不思議な噺。面白くないわけではないが、厳選したネタ数で勝負していた桂文楽が捨ててしまったのもわかる気がする。

 二席目は、以前にネタおろししたという『茗荷宿』。宿の経営がうまくいかない夫婦。「七転び八起きだ」と励ましあう。「やおろきも悲しみも幾年月」。

 仲入り後の三席目が『夢分限(ゆめぶげん)』。八代目桂文治の速記が残っているそうだ。好みの夢を見せてくれるという商売をしている店がある。この店にやってきた男、大金持ちになった夢が見たいと言い出す。大金持ちになった夢を見たい人は、この打ち出の小槌の印の付いた枕で寝てくださいと、布団の敷いてある別室に通される。その枕をして眠ると、確かに大金持ちになった夢を見た。使い切れないほどの財産を得た男のところに、次々と寄付をしてくれという者が現れるのだが・・・。『夢の酒』にも似た、ニヤッとするオチ。この噺、好きだなぁ。もっと広まればいいのに。寄席でも受けそうな気がする。ああ私も大金持ちになった夢が見てみたい。

6月17日記

静かなお喋り 6月16日

静かなお喋り

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