立川談笑 月例独演会 其の168回 2016年3月6日 国立演芸場 時事ネタや沖縄へ行った話などのマクラを20分。一席目は『粗忽だらけ長屋』。『粗忽長屋』をさらに一歩、狂気の世界まで押し進めた感がある。もともとこの噺、聴く側がこの世界に入れずにしらけてしまうと、ひたすら虚しいものになってしまう。しかも30分くらいあった。だからお客さんを選ぶ、かなり危険な落語。本来のサゲの後にも、さらに狂気を続け、別のサゲに持って行くあたりも徹底している。 二席目『金明竹』。談笑のは津軽弁版。「つがつがっているんで・・・」「つがつがっているんですか?」「つーでなくてつー」「?」「かつくけこのつー」。こういった大阪弁版にはないやり取りが可笑しい。おかみさんもちゃんと確かめようとするだけえらい。もっともそのあとは大阪弁版よりも何言ってるんだかわからなくなる。 三席目は『無精床』の改作『無精歯科』。床屋よりも怖い。店にはドリルやペンチ以外にも、ノコギリや金槌、カンナも並んでいる。元は大工で、歯科医に転職って! ブラックユーモア満載の一席。ウヒャヒャヒャヒャ。 四席目『野ざらし』。男が想像する女の幽霊がなんと幼女。ロリコンの『野ざらし』というのは強烈だが、その手の趣味がないと、あどけなくて可愛いく、だだ笑える。 五席目『長短』。これが一番気に入った。たとえば先代小さんの型だと、気の長い男はのんびりした話し方をする。しかしこれだともう今の時代に合わないのかもしれない。談笑の気の長い男は普通の話し方というより、幾分早口。ただ言ってることが回りくどい上に、どうでもいいようなことまで付け加えて長々と話す。それに気の短い男がキレるというパターン。最後は大惨事にまで至ってしまうのが派手で可笑しかった。 3月7日記 静かなお喋り 3月6日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |