談笑「落語外伝(3)井戸の茶碗」 2017年9月8日 成城ホール 立川談笑が古典落語一席と、その落語にまつわる前日談、後日談、あるいはスピンオフの新作をネタ下しするシリーズの第3回。 今回のお題は『井戸の茶本』。もう聴き飽きた感のある噺で、何か工夫がないと退屈してしまうが、さすが談笑、いろいろと工夫を入れている。。 屑屋の清兵衛さんが長屋に入ってくるところから始まるが、どうやらこの人物『らくだ』に出てくる屑屋さんと同一人物。らくだの馬さんからドスの効いた声をかけられ、慌てて逃げだす。次回のお題が『らくだ』だそうだから、この繋がりはまた出てきそう。 屑屋が千代田卜斎から買う(談笑の場合、預かるというより買い取るというニュアンス)仏像はけっこう大きく重い感じ。ほかの人のやる仏像はもっと小さく軽く感じる。 台座がはがれて出てきた五十両を持たされた屑屋、この五十両を持って逐電してしまいたいという気持ちでいっぱいなのだが、気が付くと千代田卜斎の家の前に来ている。 千代田卜斎と高木作左衛門の間を行ったり来たりして、卜斎の口から、ではいつも使っている茶碗を渡すから五十両は、その代金としてくれるように言い出す。 茶碗が名器とわかり三百両のヶ値が付き、また卜斎のところへ。すんなり了承して、百両受け取り、百両は娘の持参金として作左衛門に返す。残った百両は屑屋さんに。大喜びの屑屋さん。 端折るところは端折った『井戸の茶碗』だったが、かなり長い。マクラを抜いても一時間くらいあったのではないか。仲入り後はこの『井戸の茶碗』の『エピソード2』。ここではもう『井戸の茶碗』に出てきた主要人物は誰も出てこない。作左衛門と卜斎の娘の間にできた息子と、井戸の茶碗を鑑定した人物の娘が出てくる。そしてふたりは『井戸の茶碗』の秘められた裏のストーリーを知ることになる。 『井戸の茶碗』はもともと、悪い人が一人も出で来ない、気持ち悪いような噺だったが、これもまた言い方次第では、「いい噺」ともいえる。 終わって、談笑と広瀬和生のトーク。『井戸の茶碗』はもともと講談ネタで、落語に移すときにアタマとケツをカットした形で定着してしまったものらしい。特に前の噺は卜斎が貧乏な身の上になってしまった事情が語られているらしく、これ、講談でいいからぜひ聞いてみたいと思った。 9月9日記 静かなお喋り 9月8日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |