直線上に配置

客席放浪記

毒おんな

2018年3月12日
ザ・スズナリ

 小泉今日子をゲストに迎えた、椿組の公演。

 札幌から自動車で4時間行った牧場。牧場主がひとりの女性を連れて帰って来る。フランス家庭料理の教室を開いていたという先生で、DVを受けて同居人から逃げているという秋野楓(小泉今日子)という女。見るからにいい女で、その場にいた男達はみんなこの女の魅力に取りつかれてしまう。楓はここで働くことになって、牧場主とふたりだけになったときに、給料を貰える前に当座のお金を貸してくれないかと持ち掛ける。とりあえず300万円。怯む牧場主に楓は自分には借金があって、どうしても必要なのだと言う。

 この牧場で働きだした楓は、どうやら次々にこの牧場の関係者の男性を次々にたぶらかしているらしい。なにかというと自分はヨーロッパにいたことがあるということを口にする実に嫌に女なのだが、男達は彼女に夢中。一方で、口ばっかりで仕事をしたがらない楓に女たちは嫌悪感を募らせていく。

 小泉今日子、もう50代だが美魔女である。私生活でも最近不倫騒ぎがあったりしたが、どうってこともないようだ。いやね、もう少なくとも役者としての小泉今日子って人は、男を魅惑する何かを持っている。こんな女性が前に現れたとしたら、たとえ相手が毒おんなだと知っていたとしても、自分の財産を渡してしまいかねない。劇中の男が、それによって自分の人生が失敗したとしても、それでいいと言い出したように。

 ほとんどの男はみんな自由に生きたいと思っていながら、そうもいかない場合が多い。親の仕事を継がなくてはならなかったり、家族のためには嫌な仕事もしなければないし、稼いだお金も家族のために使わなくてはならない。そんなとき、素敵な女性が現れ好意を示されれば、現在の生活を捨てても、毒とわかっていながら、道を踏み外してしまう。哀れなイキモノなんですよね。

 私もそんなことになりかねないが、まず大丈夫。そんなに金持ってないし、「おれがそんなにモテるわきゃないよ」ですから。でも「わかっちゃいるけどやめられない」のが男なんですけど。

3月13日記

静かなお喋り 3月12日

静かなお喋り

このコーナーの表紙に戻る

トップ アイコンふりだしに戻る

直線上に配置