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客席放浪記

第7回ドージン落語会

2015年10月3日
落語カフェ

 年に一度のドージン落語会。楽屋から「やだー」「やりたくなーい」「逃げたーい」と叫ぶ声が聞こえてくる珍しい会。仲入り前の二席は、萌え系新作落語のネタおろし。47歳になる一琴、鯉朝の魂の叫びか(笑)。

 あれだけ嫌がっていた瀧川鯉朝だが、高座に座ると何事もなかったように話し始めた。中学や高校のクラスメイトの女子のなかで、そんなに美人ではなくても気立てのよい子って、けっこう男子からモテたというようなマクラから、メイドカフェの面接の噺『メイド候補生』へ。雇う側にとって面接という仕事は、やったものでなければ、その仕事のたいへんさはわからない。実は私は面接を受ける側よりも、面接をする側の方がたいへんだと思っている。面接に応募してくる人間の今まで経験してきた人生が丸わかりになってしまい、それは聞いているだけでも重い。『メイド候補生』、一番目の問題をたくさん抱えている女性だの、二番目、三番目の、ほとんど条件を観たとしていない女性など、業種は違うが私が実際に面接したした人のなかにも近い人がいる。笑って聴いてられるが重いテーマだ。

 一方の柳家一琴『萌えおこし』は、寂れた地方活性化という、これも重たいテーマ。故郷に帰った男が、街の活性化を計画し、コミケを誘致しようという噺。これが現実化したら、さぞや面白いことになるとは思うのだけど。本気で考える自治体が出てこないかなぁ。

 仲入り後は古典。柳家一琴『牛ほめ』は、いわば前座噺だが、これを一琴はうまく料理してみせた。台所の穴の部分の仕込みをすっ飛ばしたときには、どうするんだと思ったが、この噺を再構成させて、ちゃんと牛ほめまでに持って行く工夫がなされていた。これはグッドアイデア。こっちの方が面白いと思う。

 トリに上がった瀧川鯉朝。DVD収録用にカメラに向かって語りかける動作も見せながら、DVDではわからない笑いも盛り込む。新作落語ネタおろしを終えてホッとした様子で『妾馬』。八五郎が酔うにつけ本音が飛び出してくる様が、真に迫っているのは、ネタおろしのからの解放感もあってのことか。沁みしみといい『妾馬』になっておりました。

10月4日記

静かなお喋り 10月3日

静かなお喋り

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