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客席放浪記

ドージン落語会ファイナル

2017年11月4日
らくごカフェ

 7回だか9回だか続いた(数え方で異なるらしい)『ドージン落語会』もこれでファイナル。「ドージン落語」とはなんぞやというと、チラシに書かれた文章によると、「同人誌に関する様々な状況・物語を一席の落語にしたものです」とある。ここでいう「同人誌」とは年2回行われているコミックマーケット(コミケ)で売られているものを差す。私はこの手のことにはまったく門外漢で、よくわからないのだが、素人とのコミックが主体でなかには小説やら、普通のエッセイの類も売られているらしい。とにかくその程度の知識しかなく、コミケ、同人誌にはまったく興味がないのだが、このドージン落語会は好きで、よく足を運んでいた。それが今回でファイナルとは。毎年一回、この会の新ネタを書いていた作者・井上新五郎正隆の都合らしい。おたく文化の世界を、落語を通して知ることができる楽しみな会だったので、ちょっと寂しい。

 瀧川鯉朝に書かれた『とまどい・下』は、腐女子の高校生の娘と、その父親、それに娘の中学時代の腐女子の先輩でもある女性教師の会話。娘の気持ちを理解しようとBL小説を読むうちに、すっかり自分も好きになり、ついには自分でもBL小説を書くようになってしまう。それがかなりハードな内容でBLといよりハードなゲイ小説。
 私はBL小説は読んだことないし、その手のコミックも読む気になれない。あれはあくまで女性の妄想上の美化された世界。きっとお父さんが書いた書いた小説はBLとは、かけ離れていたのではないか。
 そういや、BL落語ってないか。あっても誰も聴きたくないだろうけど。

 「ファイナルですが、年に一度の会ということもあって、私には残念という気持ちもありません。ひょっとし2年後に復活しても、一年休んだってだけの話になるでしょうし」。柳家一琴は、この会の思い出として、「『文七元結』の稽古をしながら、同時にメイドさんの出てくる噺を稽古したりしてた」と振り返った。
 『有明ルーレット』は、ふたりのおたくが、人生ゲームに似たボードゲームをフレイする噺。このボードゲームは同人誌を仲間と企画し、コミケで売るシュミレーションをボードゲーム化したもの。いくらコマを進めてもダメポイントが貯まるという自虐的ゲームというのが面白い。こんなのができたら、おたくたちはむしろ喜んでプレイしそうだね。

 後半はそれぞれ古典落語を一席ずつ。柳家一琴は、これからの季節ネタ『ふぐ鍋』。この噺に出てくる大橋さんという人物、どういう人なのか説明がないのだが、日本中の温泉巡りをしているという羨ましい人物。でも登別温泉の土産が「東京ばな奈」で、登別で東京の物産展をやっていたと言うあたり、本当に登別へ行ったかどうかは眉唾。ふぐを食べるのが初めてだそうだが、本当にあちこち旅行しているくらいなら、ふぐを食べたことくらいありそうだなぁ。大橋さんって何者なんだろ。気になる。

 瀧川鯉朝は『宮戸川』だが、最後に明かされるお花ちゃんの用意周到な策略には唖然。まんまと計略に引っかかった形の半七。覚悟決めろよ! アハハハハ。

11月5日記

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