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客席放浪記

エドウィン・ドルードの謎

2016年3月29日
シアター1010

 チャールズ・ディケンズの未完の推理小説をミュージカルにしたものの日本版。ミュージカルはどうも苦手で二度と行かないつもりでいたのだが、こういう題材で、しかも演出が福田雄一ということで、これは楽しそうだなという気がしてチケットを買った。

 来月、[シアター・クリエ]で上演されるのだが、一足早く3日間の上演。その千秋楽。客席の女性率は9割以上。まるで宝塚を観に来たよう。それもそのはずで、一昨年、宝塚を退団した壮一帆がエドウィン・ドルード役。と言っても、私は宝塚はまったく知らず、この人の名前も今回初めて知ったという状態。

 本格謎解き推理劇を期待すると肩透かしを食う。元からそんなことを目指してないのかもしれない。ミュージカルだから、ほとんど歌で話が進んでいくから、歌詞をよく聴いてないとストーリーがわからなくなる。私にはこれらの歌がすべて退屈に感じられるので、ほとんど聞き流してしまっていたら、話がよくわからなくなってしまった。第一、題名のエドウィン・ドルード自体が男なのに、元宝塚の壮一帆が演じるということで、宝塚に免疫のない私は混乱するばかり。だって女にしか見えないのだもの。

 それでもさすがに福田雄一だけあって、芝居自体を退屈させないように引っ張っていく工夫はたくさんある。ただそれが、楽屋落ちだったり、日本のアニメだったり。これもよく知らない人間には、うるさく感じられるかもしれない。ようするに、万人向けのものではないのね。

 第二幕に入って、原作では、エドウィン・ドルードは失踪したことになっているだけで、本当にどこかに姿をくらましているだけなのか、それとも殺されたのかはわかっていない。しかし、単なる失踪で、実は生きていたでは話が面白くないということで壮一帆は退場させられる。「宝塚退団後、初めての舞台がこんな扱いかい!」と関西弁で捨て台詞を残して、私服に着替えて帰ってしまうという芝居を見せて笑いを取る。

 エドウィン・ドルードは何者かによって殺されたとするならばという展開から、容疑者8人のうち、誰が犯人になった展開を観たいかを観客の投票で選ばせる。結果はこの先の劇の途中でホワイトボードに記されるのだが・・・。私の観た回の投票結果はローザ。容疑者のなかでも大きな役だし、配役が平野綾だから役者の人気投票みたいなものになってしまった。動機も一番あり、展開としてはひとつも面白くなさそうなジャスパーにまでかなりの票が入っていたのも、そういうことかもしれない。本当に犯人だったら意外な展開になりそうな、どちらかというと小さな役の人が犯人という展開が観たかったなぁ。

 これだと結末は8通りということになるが、煽り文句の288通りというのは、このあと無理矢理とも思えるハッピーエンディングのためのカップル決めがあるわけで、これは、その日その日で、舞台で勝手に決めてしまっている感じがするなぁ。

 結論として、やっぱり私はどんなものであってもミュージカルには向きそうにないということだけは、よくわかった。

3月30日記

静かなお喋り 3月29日

静かなお喋り

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