円丈十番勝負 第2回 2012年11月2日 人形町・日本橋社会教育会館 開口一番は三遊亭わん丈で『転失気』。 最近の前座さんは落ち着いて喋れる人が増えてきた気がする。頑張ってね。 三遊亭円丈一席目は『ランボー・怒りの脱出』。 このあとネタおろしの『らくだ・爆笑編』があるというのに、この体力のいるサービスいっぱいの一席。恐れ入ります。 瀧川鯉昇は『二番煎じ』。 番所で仲間と一杯やるのが、家で飲むより楽しいといった男どもの集まり。「家でやるとなると、家内なるものの顔がここにありましてね、まるで監視するような顔して座ってるんですよ。『もう一本つけてくれ』なんて言おうもんなら、『あなた、また飲むんですか?』だってやんの。酒は股では飲みません!」 そうかと思うと酌をしようとする相手を制して手酌でやる者もいる。「人に注がれて、多いとか少ないとか言いたくないんだ」 こういう台詞は酒飲みでないと出てこないね。 あとから出てくる役人も飲みっぷり、喰いっぷりがいい。鍋に残ったものを、あらいざらい食い尽くす。やな奴だけど、どこか憎めないのが鯉昇がやってるからなんだろう。 仲入り後が、三遊亭円丈の『らくだ・爆笑編』。 マクラで、ふぐがどうしてうまいと言われるのかわからないということから、どうも昔はふぐを料理するときに毒を少しだけ残して出していたんではないかという説を披露して噺に入る。 爆笑編の『らくだ』といっても、それほど大きな変化はない。この噺の見せ場は何といっても、酔っぱらった屑屋さんの様子を描くところにあるのだろうが、その部分はかなり短くしてある。家に帰ると年老いたお袋と七人の子供がいると言っていたのが、酔っぱらうと「お袋なんてもう何年も前に死んじまったよ。子供だってひとり。屑屋ってのはね、人の同情集めた方が商売になるんだよ」 早々に酔っぱらう部分を終えて、焼き場に持って行ってのドタバタのブラックユーモアに円丈らしさが出る。焼き場の友人もベロベロに酔っぱらっている。「近頃、書類がないと勝手に焼けないんだ」と言いながらも願人坊主を火の中へ入れてしまう。 ところどころ円丈らしい改変がなされているが、かんかんのうを躍らせるというのも今では伝わりにくいと思ったのか、腹話術をやらせるに変えてある。これはいいアイデアだが、実際にやってみせる部分がまだこなれていないのが惜しい。ここを面白く見せられるようになったら、もっと面白くなるだろうな。 11月3日記 静かなお喋り 11月2日 静かなお喋り このコーナーの表紙に戻る |