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客席放浪記

実験落語neo〜シブヤ炎上〜

2016年6月9日
CBGKシブゲキ!!

 開演前にロビーで、三遊亭はらしょうが落語をやるというので、開場前から並ぶ。開場と同時にロビーに行くと、簡単な高座ができていて、座布団の上に、はらしょうがいる。急いで前に並べられた椅子のひとつに座る。
 はらしょうは、前座生活の段階で、円丈に協議破門になった人。今は演芸協会に所属して、ドキュメンタリー落語というのをやっている。そんなネタのなかから、『モゴモゴ』『ねじ工場』『キンタマころころ』
 十分に実験落語。

 客席の後ろからジャージ姿で登場した清水宏。いつものようにハイテンションで客を煽ってから、自らのアングラ演劇時代の体験談。そこから始まったのが、アングラ落語。『時そば』に『芝浜』。確か、以前にも聴いた記憶がある。演目は『アングラの神様』だそうだ。

 ダンカンは30年前の北野武フライデー襲撃事件のときの裏話を落語にした『フライデー襲撃事件〜30年目の真実〜』。後編だそうだが、前編はないそうだ。つまり警察に捕まって取り調べを受けたドキュメンタリー。どこまで本当なのかはわからない。警察署をあとにするとき、武が軍団メンバーに言ったという、ひと言が印象的。

 林家しん平は着物の上から、羽織ではなく皮ジャンを羽織り、サングラス姿で登場。「ジャンジャンの『実験落語』来たことがある人いますか?」と言うので手を上げたら、私ともう一人だけだった。続けて「何回くらい来ました?」と言われたので、「10回くらい」と答えておいたが、もう少し行っているかもしれない。
 家に帰ってから調べたら、ジャンジャンの『実験落語』は、1978年(昭和53年)から、1986年(昭和61年)までだったそうで、あれは昭和の時代のことだったんだ。ついこの間のことのような気がする。
 しん平は三題噺。客席からお題を募集したのは三つではなく五つ。佐村河内、公私混同、真田丸、春風亭昇太、パクチ。この人は昔っからこういうのが上手い。スッと入って、たちどころに一席にしてしまった。

 はらしょうがMCで、出演者全員によるトーク。『実験落語』時代の話が語られた。途中で再び客席の私をイジってきて、恥ずかしかったが。
 今でも1980年代の手帳を見ると、『実験落語』に行ったということが書いてあるが、誰が出て、どんな噺だったかというのは残っていない。あのころ、この客席放浪記が始まっていたら、いい記録になったのになぁ。

 仲入り後、神田松之丞。客がインド人ばかりだったという日の木馬亭で、国本武春がみせた浪曲のすごさを語るマクラが面白い。
 マクラを含めて、ひたすら押しの芸の松之丞だが、始めた新作講談『トメ』は、珍しく引きの芸。大根栽培農家の年寄夫婦の夜中の会話だけで進行する。松之丞の新作というのを一度聴いてみたかったので、この一席だけでも、来た甲斐があった。

 トリの三遊亭円丈は、『悲しみは埼玉に向けて』。ところどころ「もう忘れてしまった」と言葉が出てこないところがあったが、やっぱりこの人は、これだろう。
 「19時43分発、準急新栃木行の発車のベルは」ときて、以前は「まだ鳴らない」だったのが、今は「まだ鳴っている」に変えたようだ。

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