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客席放浪記

一之輔・天どん ふたりがかりの会
新作江戸噺十二ヶ月(笑)べすとばん


2018年3月13日
座・高円寺2

 春風亭一之輔三遊亭天どんが江戸を舞台にした新作落語十二ヶ月分を作り終え、今回はその中から二席ずつを再演しようという会。

『ひとり相撲』(1月) 天どん
 架空の相撲中継をする大道芸の男。一之富士と二之鷹の対戦。一之富士贔屓の武家と二之鷹贔屓の町民が、それぞれ贔屓の方を勝たせてくれと芸人にお金を渡す。どちらを勝たせようか迷う芸人。なんかばかばかしくて落語らしい。
 サゲが三つ用意されてて、一之富士が勝った場合、二之鷹が勝った場合、引き分けだった地合。三つともきれいなサゲになっている。

『吟味婆』(4月) 一之輔
 箱根の関所。出女を監視するための吟味婆(ぎんみばばあ)というのが置かれている。お婆さんが二人一組で通行手形を持ってやってきた女性の身体の特徴を吟味して本人であるかどうかを調べている。相棒のお婆さんがいなくなってしまったので、江戸から流れてきた若旦那にお婆さんの扮装をさせて相棒にする。女の身体が見られると大喜びでこの話に乗る若旦那。
 最後は噺が大きく展開するが、最初の方でやってくる女性を演じるのが一之輔は楽しいらしく、「ここだけ寄席でやりたい」と言っていた。

『長屋の雪見』(12月) 一之輔
 貧乏長尾の一同が、初日の出を見に大晦日の夜に出掛けて行く噺。タイトルどおり『長屋の花見』のパロディでもあるが、いろいろな古典落語の一場面が使われたりして楽しい一席。

『つゆ待ち傘』(6月) 天どん
 こちらも貧乏長屋。捨て置きされた赤ん坊を長屋のみんなで面倒をみる人情噺。置手紙から、この子の名前は、つゆという女の子だとわかる。クライマックスのズラリ並べた傘は、頭の中で鮮やかな絵になる。
 人情噺としてもっと描き込んで長い噺にしていったら、今に古典になるかもしれない。

3月14日記

静かなお喋り 3月13日

静かなお喋り

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