2012年9月5日第38回読売GINZA落語会 開口一番、前座さんは柳家おじさんで『牛ほめ』。頑張ってね。 立川談笑はケチだった師匠談志のエピソードをマクラでたっぷりと入れて『片棒・改』へ。ネタの中でも談志がたくさん出てくる。すっかりケチで有名な師匠になっちまった。最後は使いきれなかったろうに。ケチんぼを茶化して笑いにしたのが『片棒』。そういえば談志で『片棒』を聴いたことがない。いま、談志がやっているなら物凄く聴きたい。笑えるだろうなあ。ヒャハハハハ。 三遊亭白鳥は『恋する蛇女』。この噺、最初に聴いたときはピンとこなかったのだが、何回もテコ入れしてから、やけに面白くなった。マクラで、この噺を鈴本の代バネでやってお客さんが怒り出したというエピソードを入れるが、それ自体が前振り(伏線)になっているという周到さ。構成力からいくと、今、白鳥が一番なんじゃないかと思えてくる。 仲入り後に松尾貴史を司会にして、新作落語の作り方の鼎談。談笑、白鳥に、さらに途中から圓丈まで加わる。 新作を作るというよりは、古典の改作をよく手掛ける談笑は、わかりにくくなってしまった古典を現代に置き換えて、わかりやすくするためにやっているんだと自作を解説。 白鳥は、思いついて作った噺を何回も何回も高座にかけていくことで、作り直していく作業の必要性を語る。 そこへいくと圓丈は、作り直すということを嫌う。自分が面白ければいい。受けなければやらなくなる。自分に興味があるのは次に作る新作だという。 三者三様の新作に対する考え方の違いがわかって面白かった。 トリは三遊亭圓丈の『新牡丹燈籠』。これは柳家小ゑん作と知って、突然思い出した。今を去ること7年前。プーク人形劇場で小ゑんがかけた『牡丹燈籠49.195』だ。うわー、懐かしい。当時観に行って書いているぞ、これ。マラソン・ランナーがランニング用の下駄を履いて走るというアイデアにあきれたというか、よくこういうことを考え付いたものだと思ったのを憶えている。 客席放浪記2005年8月 読み返してみると、そう、このとき、初めて栄助(現・百栄)を面白いと思い、期待しているというようなことを書いている。この直後にこの『怪談話し下手』を翁庵寄席でやってもらったっけ。 新作落語好きの私はあのころ、妙に興奮していたっけ。 9月6日記 静かなお喋り 9月5日 このコーナーの表紙に戻る |