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客席放浪記

「ごらく亭」の夏休み2

2013年8月24日
日本大学芸術学部江古田校舎大ホール

 開口一番は今年も前田一知『犬の目』、上手いなぁ。いつも思うのだけど、この人、今からでも遅くないから落語家になっちやえばいいのにと思う。スジはいいんだし。

 今年も『わが闇』で快演を見せてくれたナイロン100℃の松永玲子。私がこの女優さんを意識したのも、二年前のこの会で落語を聴いてから。主に関西で使われる接頭語「だだ」の話から入る。「だだ漏れ」「だだ辛い」。マイナスの意味で使われる程度を表す表現。そこからこれも関西では「節約」「倹約」の意味につかわれる「始末」を説明して、『始末の極意』へ。マクラの入れ方もプロなみだね。

 小宮孝泰『与太ロード』は与太郎噺のグフィティ。『道具屋』『かぼちゃ屋』『大工調べ』『錦の袈裟』『金明竹』『牛ほめ』『おいてけ堀』『唖の釣り』『孝行糖』『からぬけ』などが、入れ代わり立ち代わり出てくる。わかる人だけわかりゃいい。

 山口良一大森ヒロシの漫才も慣れたもの。ネタは去年もやっていたマツシマナナコだが、ずっとテンポもよくなってきた。

 曽世海司は、柳家喬太郎の『午後の保健室』だが、これこそ役者向きの噺。喬太郎の噺をうまくものにしている。途中「初めてやる新作落語がこれでよかったのか後悔している」なんていう、いかにも喬太郎らしいギャグをいれるところも可笑しい。

 仲入り後は落語芝居。今年は『平林』を『栗田』に変えてやっていた。小宮孝泰の定吉がお使いに出て、栗田の読み方を忘れてしまって、道で出会う人たちに読み方を尋ねるという、元ネタ通りの筋立て。ただし、自己顕示欲のカタマリみたいな役者ばかりだから、アドリブをどんどん入れてくる。それに小宮がどう返すが見どころ。楽しんでるね、役者さんたち。

 山口良一『粗忽長屋』。このなんとも、とぼけていて、それでいて一歩間違うと狂気になってしまう世界、コメディアンには向いているのかもしれない。案外、山口良一のフラに合った噺だったのが意外だった。

 ウクレレえいじの漫談はもう、いつもの。微妙に似ているものまね。これもわかる人だけわかりゃいいの世界。

 トリは松尾貴史『くしゃみ講釈』。この人に関しては、もう何も言えない。玄人はだし。落語家もはだしで逃げ出すってやつ。予芸でこれやられちゃ敵わないよなぁ。

8月25日記

静かなお喋り 8月24日

静かなお喋り

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