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客席放浪記

三遊亭白鳥創作落語集

2014年1月11日
横浜にぎわい座

 まずは三遊亭白鳥神田きらりの挨拶から。きらりとは初対面だという白鳥が、きらりが講談界に入った経緯を訊き出す。最後に白鳥が「ハーフだって言われません?」との問いに、「いえ、私は栃木生まれの埼玉育ちですがフイリピン人と間違われます。私のCDデビューはフィリピン人の真似なんですよ」と、怪しげなフィリピン訛の日本語を披露。白鳥が「今度フィリピン人の出てくる新作書いてあげるよ」

 三遊亭白鳥の一席目は、なんと『禁酒番屋』。桃月庵白酒が「どっこいしょ」を「ドイツの将校」とやって評価が高いと聞いて、それならばと考えた白鳥版『禁酒番屋』。白鳥は「よっしょこらしょ」と持ち上げて番屋の侍にとがめられる。「いえ、私は『酔いどれショートコント』って言ったんですよ」と言い訳して、ビールやワインでショートコントを披露してみせる。調子に乗って「なにかアルコールでリクエストありませんか?」と客席に問いかけたものだから、「老酒」という声がかかり、大慌て。「ウイスキーなら考えていたんですけど」

 神田きらりは、白鳥の『鉄砲のお熊』を講談に。マクラで自身が経験した恋愛話を持ってきて、この噺にいかに思い入れがあるかを説明する。ははぁ〜、白鳥としては軽い気持ちで作ったこの噺も女性目線で見ると重いものがあるんだなぁ。幼なじみの三人が、それぞれ、女相撲の相撲取り、村のならず者、歌舞伎役者になり、また生まれ育った村に帰ってくることからの愛憎の物語。熱が入って50分の長講。

 中入り後は、だるま食堂のボインボインショウから。白鳥から新作をお願いされている彼女たち、何本かちゃんと用意してくるところが偉い。今回のでは、『年の初めの』を歌いながらの餅つきショウというのが素晴らしい。このアイデアだけでも面白いのに、テンポアップバージョンも見せてくれた。

 そして三遊亭白鳥、トリは、ネタ出ししていた『隅田川親子』。これ、正直に言うと最初に聴いたときには私、ドン引きしてしまった噺。なにしろ皇室ネタなんだもの。これはまずいでしょ。ところが不思議と今回はスーッと入ってきた。別に皇室をバカにしているわけじゃないんだよね。ところどころ、そういったクスグリは入るが、皇室をより身近に感じるような作りになってる。まるで腫れ物に触る感覚じゃなくて、皇室がまさに庶民の方に降りてきた感じ。いいなぁ。これ、テレビでは出来そうもないけれど、いい噺だと思えてきた。『禁酒番屋』で不発だった「老酒」もしっかり回収してみせた。凄いね。

1月12日記

静かなお喋り 1月11日

静かなお喋り

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