直線上に配置

客席放浪記

第8回ピンクの白鳥

2014年6月25日
池袋演芸場

 三遊亭白鳥が定期的に行っているエロ噺の会。さぞかし男性客ばかりだろうと思って行ってみたら、意外と女性客が多い。また、池袋演芸場は都内の寄席の中でも客電が一番明るい。ほとんど淫靡な感じにならない。演者が口にするほとんど放送禁止用語が、ちっとも嫌らしくならないのが不思議。そんな言葉を耳にした女性客がケラケラと笑っている。内容に反して、あっけらかんとした乾いた笑い。ちょっと信じられないような空間を体験した気分。

 まずは、三遊亭白鳥、ほぼレギュラーのウクレレえいじ、それに初参加の鈴々舎馬るこによる挨拶。馬るこは、落語家になる前は吉原のソーブランドの従業員だったことをカミングアウト。客引きのやり方などを実演してみせてくれた。こりゃ本物だ。アハハハハ。

 最初は三遊亭白鳥がインターネット通販で調べてきた“大人のおもちゃ”の商品の図解コレクションをフリップで見せる『こんなラブグッズはどうだ』。ほんとに世の中って、変なものを考える人がいるもので、もう笑ってしまうしかない。男性の性器を大きくする商品なんて、ほんとに効果があるのか疑わしいものばかり。涙ぐましいね。

 鈴々舎馬るこは、『まんじゅうこわい』の改作。長屋の連中が、怖いものをそれぞれ言い合う最初のところは、ちょっとしたマクラ集成。これだけでも相当に楽しいが、いよいよ始まるのが、何も怖いものは無いと豪語していた男が、「実は、まん●が怖い」と言い出すあたりで、「やっぱりね」という展開。あまりのバカバカしさに、客席が大きな笑いに包まれる。タイトルは、まぁ『まん●こわい』でしょうね。

 次に上がったのが、こういう会には似つかわしく゜ないだろうと思われる柳家喜多八。寄席でも、滅多に聴くことがない『お直し』。ははぁ、これを持ってきたか。別にそんなにエロじゃないけどね。いわゆる艶笑噺ではあるのだけど、決してエロではない。

 仲入り後は、ウクレレえいじ。わかる人だけわかればいい映画の物真似。東映ポルノをよく観ているね、この人。後半はエロ替え歌。「もういいよ」との楽屋からの白鳥の声で終了。こういうの酒飲みながら男ばかりで歌うと受けるのだけど、こういう場所であんまり長くやっても・・・ね。

 トリの三遊亭白鳥は、先日口演した白鳥版『牡丹燈籠』をさらに変化させた『ピンク牡丹燈籠』。牡丹の精に取り付かれるQ蔵という基本線を残し、よりエロチックに作り直して見せた。もう変幻自在だね。この人にかかると、どうにでも作り変えられる。どうやらこの日一日の掛け捨てネタらしい。もったいないと思うけれど、この人にとっては、このくらいのことどうってことないんだろうな。

6月26日

静かなお喋り 6月25日

静かなお喋り

このコーナーの表紙に戻る

トップ アイコンふりだしに戻る
直線上に配置