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客席放浪記

三遊亭白鳥・柳家喬太郎二人会

2016年3月25日
イイノホール

 白鳥、喬太郎の二人会って、ありそうだけれどないんだよね。しかもこれだけの大きなホールで。

 まずは挨拶ということでふたりが登場。この組み合わせの二人会は九年ぶりとのこと。二人とも日大出身ということで、学生時代の話をあれこれ。白鳥の珍妙な造語に喬太郎がツッコミを入れ、「今日は白鳥、喬太郎二人会ですからね。談春、三三二人会ではありません。そういうのを期待しないでくださいね」と客席に呼びかけると、大受け。
 最後に「今日のお囃子は、やはり日大出身の恩田えり」と紹介すれば、これまでにない拍手。ふてされたポースをみせる喬太郎に、また客席が沸く。

 まずは三遊亭白鳥。終演後に演目が貼りだされたら『ギンギラボーイ』となっていたが、これは元は台本募集で入選した『ピンピンマン』に手を入れたもの。一度、『ギンギラX』という演目でも聴いたことがあるが、今は『ギンキラボーイ』になっているのだろうか? 聴いたのはもう5〜6年前で、ほとんど忘れていた。売れない薬屋の主が惚れ薬を開発するという噺で、これって薬事法違反なんじゃないのというツッコミを入れている暇もなく突き進む。オチに意外性があるのもこの人らしい。

 このふたりだとすると、どうなるものかと思っていたら、柳家喬太郎の一席目はなんと『子別れ』。喬太郎の『子別れ』、十年位前に聴いたのが最初だったけれど、ずいぶんと磨きがかかってきた。亀ちゃんがますますとんでもない息子になっていて、父親に小言を言ってみせる。父親もタジタジ。五十銭渡されて「おっかさんには、おとっつぁんに会ったこと内緒だぞ」と言われながら、次の場面ではすぐに、「おっかさん、只今。おとっつあんな遭ったよ。五十銭くれた」。この展開は、初めて聴いた人は唖然とするだろう。亀ちゃんの小言の対象はおっかさんにも及ぶ。
 亀ちゃんが「復讐だ」と、うなぎを十八人前食べるところも可笑しいが、そのあと、「また三人で一緒にご飯が食べたいよぅ」というところでは、思わずホロリ。この押して引く亀ちゃんが主人公。
 一番ツボだったのが、「うなぎ食わしてやるよ」「うなぎのアタマかい?」。なぜか家に帰ってからも思い出し笑いが止まらなかった。

 喬太郎の二席目は『鸚鵡の徳利』。いわゆる咄家形態模写。柳家さん喬、三遊亭天どん、三遊亭円丈、五街道雲助。最初の三人はうつむいて出てくるのが共通している。でもさん喬は、あんなノロノロ歩かずに、スタスタ出てくるよなぁ。

 白鳥が「8時半までに終えてくださいと言われていまして・・・」と始めたのが『新婚妄想曲』。これ、以前SWAで聴いて、疲れていたものだから、ほとんど寝てしまったネタ。ようやく全貌がわかった。昔のマンガやテレビドラマをぶちまけたような噺。そのへんの知識がないと笑えない人もいるのでオクラにしていたのだろうけれど、ウルトラマンネタで受けている喬太郎との会ならいけるだろうと、ぶつけてきたのか。お客さんの反応を探り探りの感じだったが、どうしてどうして、なかなか受けていたように思う。

 この二人会、この先また続けてくれるといいなぁ。

3月26日記

静かなお喋り 3月25日

静かなお喋り

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